こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】独創的なデザインのビークロスはなぜ売れなかったのか?

■世界に衝撃を与えたコンセプトカーのスタイルを忠実に具現化

 SUVでありながら、見た目からしてスポーティな雰囲気を前面に押し出したビークロスのデザインは、ベルギーに拠点を置いていたIEE(いすゞ・ヨーロッパ・エンジニアリング)が手がけたものと言われている。

フロントからリアにかけて曲線を用いながら抑揚を持たせたことで、静止していても動きを感じさせる絶妙な躍動感が演出され、従来のトラックからの派生だったSUVとは一線を画していた
フロントからリアにかけて曲線を用いながら抑揚を持たせたことで、静止していても動きを感じさせる絶妙な躍動感が演出され、従来のトラックからの派生だったSUVとは一線を画していた

 ボディサイズは全長が4130mm、全幅1790mm、全高は1710mmで、ホイールベースが2330mmに設定された現代のCセグメントに相当し、まさに今、巷で流行っているコンパクトSUVの先駆けとも言える。

 モーターショーに出展されたプロトタイプは、ジェミニの基本コンボーネントを流用した乗用車ベースのSUVで、丸みを帯びたフォルムを基本に前後のオーバーハングを切り詰ることで塊感を演出。さらに横バーを加えたサイドパネルやスペアタイヤを組み込んだテールゲートなど、コンセプトモデルならではのアグレッシブな外観に仕上げていた。

 市販化されたビークロスは、生産性を考慮して基本コンポーネントをビッグホーン用に変更されるが、デザインの基本路線はほぼそのままで市場へ導入される。フォルムだけでなく、前後ライト類にも曲面が多用され、さらにボディの下半分に未塗装の樹脂を大胆に採用したこともビークロスの奇抜さを印象づけていた。

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