かつてのビッグネームである日産セドリック。最終モデルのY34は2004年に販売終了となっており、街中で見る機会もめっきり減った。しかしながら、パトカーファンの間では、今なおセドリックは根強い人気を誇っている。特に長期にわたって生産され、パトカーとして採用されてきたY31は、わずかではあるが現役車が残っており、今風のクルマにはない無骨なスタイルがファンを魅了している。
今回はファンが惚れ込むY31セドリックパトカーの魅力を、書籍『セドリックパトカー スーパーバイブル』(講談社ビーシー/講談社)を参考に、深掘りしていくことにする。
文・写真/有村拓真
【画像ギャラリー】マニアが惚れ込む! セドリックパトカーの4つの魅力ポイント(4枚)画像ギャラリー■市販車にないパトカー専用グレードという魅力
パトカーは基本的に市販されている車種をベースに作られる。白黒のボディを身にまとっていると、「パトカー」という意識が先行するので、車種への意識が薄れるが、どんなパトカーも、基本的には市販されているベース車種が存在する。
そしてパトカーの多くは、このベース車種の中から、廉価グレードなどを使ってパトカー専用装備を架装して作られるが、なかにはパトカー専用グレードが用意されている車種もある。その代表格ともいえるのがY31セドリックで、市販車にはない3000ccエンジン+5MTの仕様がマニアを魅了している。
加えてY31のパトカーモデルには、専用の車両型式が付与される。車種を表すY31の前に、日産社内で代々パトカー仕様を表す「Y」とセドリックで3000cc車を表す「P」が付与され、YPY31と呼ばれることとなり、この特別な呼び方が、セドリックパトカーをより魅力的にさせている。
■マニア心をくすぐるパトカー専用仕様
YPY31は、非常に長寿モデルだったため、そのバリエーションが豊富で、大きく分けて、前期型/中期型/後期型/最終型の4つに分けることができる。パトカーファンがそそられる、セドリックパトカーならではの特徴をいくつか紹介しよう。
まずは、ボディについて。登場当時のYPY31前期型はタクシーグレードのスタンダードをベースとした5ナンバー枠のボディだったが、フロントバンパーやリアバンパーには3ナンバー仕様の大型バンパーを装備したのが特徴的だった。
そして、エンジンは前期型から最終型まで共通してV6 3000ccのVG30Eを搭載。これに5速MTが組み合わされた(仕様上はATも選択できた)。この3000ccエンジン+5MTの組み合わせは、市販モデルには存在せず、YPY31を一般人には手の届かない特殊な存在にさせている。
加えて、ラジオアンテナの位置も「わかる人にはわかる」というそそられポイントで、市販車では助手席側リアフェンダーに備わるラジオアンテナが、YPYでは運転席側に変更されていた。しかも初期配備モデルの覆面パトカーは、無線用アンテナにF1ホイップアンテナというラジオアンテナに模したものが使われており、後方から見ると「ラジオアンテナが2本ある」ように見えた。なお、最終型ではラジオアンテナはリアガラスプリントタイプになっているのが、見分けポイントである。
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