【蘇れ日産!再生できるのか?】ゴーン後の「日産ラインアップ改善計画」

【蘇れ日産!再生できるのか?】ゴーン後の「日産ラインアップ改善計画」

 日本の自動車メーカーのなかで、いま最も注目されているのが日産だろう。いや、最も心配されている自動車メーカーといったほうが正しいのかもしれない。

 過去にはカルロスゴーン元会長の逮捕という、ショッキングな出来事があった。さらに直近の2019年度第一四半期(4~6月)の決算は、連結営業利益がわずか16億円、売上高営業利益率は0.1%、当期純利益は前年同期比で94.5%減って64億円になった。

 そのために2022年度までに1万2500人の人員削減も公表された。この数字は日産全社員の10%に相当する。同時に商品ラインアップを2022年度までに10%以上減らす(少なくとも4~5台以上)と発表している。

 不安な要素を抱える一方で、日産社内からは、「2020年以降は日本国内でも新型車を活発に発売する」という前向きな予想が聞かれる。

 こうした状況のなかで、クルマ好きが気になるのは、C・ゴーン後の日産はどうなるのかということ。

 まだ、五里霧中で今まさに再生計画を練っている状態かもしれないが、ここで、自動車評論家の渡辺陽一郎氏が、日産を再生するにはどうしたらいいか、懸案事項と今後の日産車のラインアップ改善計画を考えてみた。

文/渡辺陽一郎
写真/ベストカーWEB編集部 日産自動車


日本市場軽視の傾向は変わるのか?

 国内向けのシーマ ハイブリッド、フーガ ハイブリッド、フーガ、スカイライン、GT-R、フェアレディZ のほか、海外向けのインフィニティ各モデルが生産されている日産自動車栃木工場
国内向けのシーマ ハイブリッド、フーガ ハイブリッド、フーガ、スカイライン、GT-R、フェアレディZ のほか、海外向けのインフィニティ各モデルが生産されている日産自動車栃木工場

 日産の場合、2008年に発生したリーマンショックの影響もあり、近年は日本向けの商品開発が滞っていた。

 2011年以降は新型車の発売が大幅に減り、1~2年に1車種の状態が続いている。2018年もフルモデルチェンジや新規投入が行われず(グレード追加などを除く)、2019年も既に発売されたデイズのみになる可能性が高い。

 2019年1~6月の販売統計を見ると、日産の世界販売台数の内、日本国内の比率は12%にとどまる。

 2000年の時点では、日産の世界生産台数に占める国内の販売比率は28%だった。これが2005年には25%、2010年には16%、2015年には11%と減っていく。日本を軽視するために国内で発売される新型車が減り、その結果、売れ行きがさらに下がる悪循環に陥った。

 今までの日産の考え方は、「今の国内市場は規模が小さく、将来性も乏しいから新型車の投入も少ない」というもので、国内販売が大きく落ち込んだ。

 その結果、最近の日産のメーカー別国内販売ランキング順位は、トヨタ、ホンダ、スズキ、ダイハツに次ぐ5位で落ち着いている。

 過去を振り返ると、2007年頃までは日産が安定的に2位であった。それがリーマンショックによる世界的な不況が発生した2008年頃から下がり始め、軽自動車の増加によってスズキとダイハツのシェアが拡大したこともあり、日産が5位まで後退した。

 それにしても、10年ほどの間にメーカー別国内販売ランキング順位が2位から5位に下がるのは、下落の仕方が激しすぎる。この流れを見直すわけだ。

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