【お手軽チューニングとしてかつて大人気】アーシングの現状とこれから


 チューニングには物凄くお金をかけた本格的なものから手軽なものまでいろいろなレベルがあるが、現代では手軽なチューニングが人気が高い。

 かつて手軽なチューニングとして、2000年代に注目されたのが「アーシング」だ。「アースチューニング」という名称も使われることがあるが、本記事ではアーシングで統一。

 そのアーシングはさまざまな関連アフターパーツが登場しただけでなく、一時はメーカー純正オプションパーツにも取り入れられるほどだった。

 今注目され流行っているお手軽チューニングとしてアルミテープチューンがあり、クルマのいろいろな場所にアルミテープを貼るだけで効果が得られるということで、アーシングよりも安価で魅力的だ。

 今回の企画の主役であるアーシングは、アルミテープチューンとは対照的に現在となってはあまり話題に上ることもなくなってしまった。やはり単なるオカルトパーツだったのだろうか。アーシングの現状を調査し考察していく。

文:大音安弘/NISSAN、HKS、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】人気お手軽チューニングのアルミテープチューン


アーシングは電圧降下を必要最小限に抑えるのが目的

先代のフェアレディZ(Z33)にはメーカー純正オプションでアーシングが用意されていてまずまずの人気があったが、現行のZ34では設定されていない

 まず「アーシング」の原理を説明したい。電気を伝えるには、電源のプラスとマイナスに接続する必要がある。最もわかりやすいイメージは、豆電球と乾電池の接続だ。つまり電気がプラスからマイナスへと流れる道が必要なのだ。

 ただクルマの場合、電気機器をバッテリーのプラス端子(プラス配線)とマイナス端子(マイナス配線)に直接結ぶなら、単純に2倍の電気配線が必要となる。これではコストも大きく、さらに断線などのトラブルの原因も増える。

 そこで、通電可能な金属のボディをマイナス配線に見立てて、電気機器とバッテリーのマイナス端子を結ぶ電気配線の間にボディを介在させている。これを「ボディアース」と呼ぶ。 

アーシングはボディアースのポイントを増やして電気をバッテリーに戻す。何かが劇的に向上するというよりは、各所の小さなことの積み重ね的効果が期待できる(写真はイメージ)

 ただデメリットとして、ボディは電線に比べると抵抗が大きいため、電気の流れを妨げる。つまり電圧低下が生じてしまうのだ。そこでクルマの主要な電気機器からバッテリーのマイナス端子を直接結ぶことで、電圧降下を必要最小限に抑えている。

 これは新車時でも必要最低限は行われており、巷でいうアーシングとは、その接続箇所を増やしたり、既存のアース線を強化したりすることなのだ。

 このため、アーシングに使う電気配線と端子は、電気抵抗の低い金属を使い、大きな電気の流れにも耐えられるように作られている。

需要は減っているが安定人気

軽オープンスポーツのコペンにも純正でアーシングがディーラーオプションとして設定されていたが、充電制御システムが組み込まれてからは消滅

 アーシングの効果として、一般的にはエンジンの点火系の安定した働きによるスムーズな走りの実現に加え、電気ノイズが減少することによるオーディオの音質改善やライトが明るくなったりするなどが挙げられる。

 これは電圧低下が抑制されたことで、電気機器が本来の性能を発揮できるようになるからだ。より詳しく効果を知るために、アーシングパーツである「サークルアースシステム」を販売するHKSに話を伺った。

 HKSでは、2002年頃に同製品を発売。当初は車種別仕様も用意していたが、現在は、汎用品のみになったという。ただ当時ほどのボリュームはないが、今なお安定して売れる製品のひとつだそうだ。

 アーシングのメリットは、電装・電子部品の保護や性能を安定的に発揮させることだという。デメリットは特になく、強いて言えば、車種や仕様、コンディションによって、効果に差がある点ではないかとのことだった。

HKSが現在も発売しているサークルアースシステム。現在は汎用のみの販売ながら一定の人気を保っている。小売価格は1万6800円(税抜き)

 現代のお手軽チューニングといえば、同じく電気に関するトヨタの「アルミテープ」がある。こちらも「オカルト」や「プラシーボ効果」だの言われてきたが、簡単に説明すると、クルマの帯電を減らすことで、走行中の空気抵抗を減らし、エアロダイナミクスの改善を図るものだ。

 こちらはより簡単で、ボディにアルミテープを張るだけ。効果は、車種や天候などのコンディションに左右されるが、デメリットはない点も似ている。やはりデメリット無しという点が、どちらも大人気となった要因といえそうだ。

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