誉められすぎのクルマにもの申す! 忖度なしで毒舌解説【リバイバルBESTCAR】

■BMWミニ(初代)の各評論家の評価

2002年3月2日に日本上陸した初代BMWミニ
2002年3月2日に日本上陸した初代BMWミニ


鈴木直也:普通かな
国沢光宏:よいですね
斎藤聡:普通かな
島崎七生人:すばらしい!
渡辺陽一郎:イマイチだなあ
小沢コージ:すばらしい!
河口まなぶ:すばらしい!

 唯一「イマイチ」の評価とした渡辺陽一郎さん、お願いします!

●パッケージングに無理がある(渡辺陽一郎)

 BMWが作ったミニは、1959年に登場した初代モデルの外観をモチーフにしている。そもそもこのデザインは1959年の段階で登場したからこそ、高い評価を得られた。フォルクスワーゲンのニュービートルもそうだが、現時点で最良のパッケージングとは言い難い。

 クラシックミニを乗るとその広さに驚く。運転席は身長180cm以上の人でもちゃんと座れる。でもBMWミニはそんなことはない。ボディサイズもミニと呼べないほど大きい。また、横滑り防止装置のDSCがクーパーSにだけ装着される点も疑間が残る。

■BMW3シリーズ(5代目E90型)の各評論家の評価

2005年5月に発売されたE90型5代目3シリーズ
2005年5月に発売されたE90型5代目3シリーズ


鈴木直也:嫌いかも?
国沢光宏:よいですね
斎藤聡:よいですね
島崎七生人:よいですね
渡辺陽一郎:普通かな
小沢コージ:よいですね
河口まなぶ:すばらしい!

 BMW3シリーズ(E90型)に対し「嫌いかも?」という最低評価を与えた人がいた! どんな悪口?

●幻想を売りつけている(鈴木直也)

 値段が高すぎる。日本はBMWのプランド価値を過大に評価しすぎていると思いますよ。ハード面では、新しいバルブトロニックのストレート6は期待外れだったし、このエンジンならレクサスISの3.5Lのほうがずっといいと思いますね。

 それに内装のクオリティも低い。それなのにこの値段でしょう。BMWは日本人に幻想を売りつけているのではないかと思うくらいです。もっと冷静になったほうがいいですよ。

 ただし、唯一ハンドリングと乗り心地のバランスのよさだけは認めます。この点に関しては追従できる日本車は今のところありませんね。

■愛されすぎるクルマってどんなクルマが多いのか?

 そもそも愛されすぎてしまうクルマにはどんなものが多いのか、まずはその研究をしてみたいと思う。自動車評論家の鈴木直也氏によると「メーカーが儲からないクルマ、作ったことで赤字になっちゃうようなクルマは愛されやすい」という。

 儲からないクルマには2通りあって、ひとつは「コストを度外視して作られたクルマ」。これは高級外車に多いパターンだが、日本車でいえばレガシィなどはそのひとつの例で、クラスを超えたコストのかけ方がマニア心を揺さぶるとか。

 そして、もうひとつ、「売れるつもりだったのにコケたクルマ」も偏愛の対象になりやすい。その典型例はインサイト。特にインサイトは凝ったメカニズムを搭載しているだけに、よリマニアの偏愛を受けやすい。

 「名車と呼ばれるクルマには、メーカーに利益をもたらさなかったクルマが多い」は鈴木直也氏の持論。また「予想外にいいクルマ」も愛されやすい条件のひとつ。

ホンダの大ヒット車といえば初代オデッセイ
ホンダの大ヒット車といえば初代オデッセイ

 古いところでは初代オデッセイ、新しいところではスイフトなどはその典型例。気にもかけていなかったクルマが予想の範疇を超えてよければ、受ける側の印象に強く残るのは当然。メガネを取ったら意外と美人だった、上着を脱いだら意外と着やせするタイプだったなど、自分の身の回りの体験に置き換えればすぐにわかることである。

 同じく印象に残りやすいという意味で「旧型よりも飛躍的によくなったクルマ」も愛一されやすい。スイフトしかり、少し前ではデミオやマーチ、さらに古くはロゴからフィットヘの進化もこの例に当たる。

ロゴからその後継車、初代フィットに変わった時衝撃だった
ロゴからその後継車、初代フィットに変わった時衝撃だった

 また、基本的に、走りのいいクルマを溺愛する傾向が強い自動車評論家業界では「レーシングカーのような市販車」は愛されやすい。ランエボ、インプレッサ、そして、ホンダのタイプRなど。

インプレッサWRX STI2005
インプレッサWRX STI2005

 一般のクルマ好きにとっても(買う買わないかは別として)、その手のクルマはやはり好きな人が多いだけに、今後もこの傾向は続いていくと思われる。ただし、近年そういうクルマが減っているのは気になるポイントだ。

 最後にこんなクルマは誉められるよねっていう、法則を書いてみました。

・最新技術を徹底的に投入したクルマ
・ヨーロッパ車のような走りのクルマ
・予想外に走りがよかったクルマ
・無駄にコストをかけて作ったクルマ
・旧型よりも飛躍的によくなったクルマ
・レーシングカーのような市販車のクルマ
・とことんベーシックなヨーロッパ車
・何かにチャレンジしたクルマ
・技術バカが作った売れないクルマ

※         ※         ※         ※

 いかがだったでしょうか? 今でこそ、重箱の隅を突くような、いわゆる忖度なしの評価は当たり前になってきましたがいまだに誉め過ぎの人もいらっしゃいますよね。いいことも悪いこともメーカーの顔色なんか気にせずに自由に原稿を書いて欲しいものです。

 では2024年9月現在、誉められすぎのクルマって何でしょう? みなさんはどう思いますか?

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