ディーゼル高いが差額を回収できるのか?
次はエンジンを選ぶ。ロングボディの5ドアDXには、直列4気筒2Lガソリンと、2.8Lディーゼルターボを用意している。
2Lガソリンの最高出力は136ps(5600rpm)、最大トルクは18.6kgm(4000rpm)とされ、2.8Lディーゼルターボは151ps(3600rpm)・30.6kgm(1000~3400rpm)になる。ディーゼルターボは、実用回転域の駆動力が高い。
ディーゼルターボのJC08モード燃費は13.0km/Lで、ガソリンは10.4km/Lだから、軽油価格の安さも考慮するとディーゼルターボは燃料代を約30%節約できる。
その代わり価格も高い。ロングボディ5ドアDX(6人乗り/6速AT)の場合、ガソリンの価格は244万9700円だが、ディーゼルターボは303万9300円に達する。
後者は58万9600円高い。CX-5では2.2Lディーゼルターボと2Lガソリンの価格差が約32万円だから、ハイエースのディーゼルターボには割高感が伴う。約59万円の価格差は、ハイブリッドとノーマルエンジンの差額以上だ。
購入時の諸費用は、ディーゼルターボがクリーンエネルギー自動車とされるために少し安い。環境性能割(自動車取得税の後継となる税金)と自動車重量税の合計額は、2Lガソリンは3万円だが、ディーゼルターボは非課税だ。実質差額は約56万円に縮まる。
そこで実用燃費がJC08モードの85%、レギュラーガソリン価格が1L当たり145円、軽油が125円として計算すると、1km走行当たりの燃料代は、レギュラーガソリンが16.5円、ディーゼルターボは11.3円だ。ディーゼルターボは1km当たり5.2円の節約が可能になる。そうなると約56万円の実質差額は、10万~11万kmを走ると取り戻せる。
ハイエースをビジネスで使うユーザーは、1日平均100kmを走り、1カ月に20日稼働して2000km、1年間なら2万4000kmといった走り方をする場合も多い。
5年間使えばディーゼルターボとガソリンの価格差が燃料代の差額で取り戻され、それ以降はトクをする計算が成り立つ。
しかもディーゼルターボは動力性能が優れ、取り扱いディーラーのトヨペット店によると「数年使った後の下取り額も高い」というから、走行距離の伸びるユーザーにとっては買い得だ。
また仮に燃料代で価格差を取り戻せなくても、先に述べた実用回転域の駆動力が高いディーゼルターボの走りには魅力がある。価格が300万円を超えるものの、ディーゼルターボを搭載するロングボディ5ドアDXが最も推奨されるグレードだ。
安全装備の充実は必須
装備については、トヨタセーフティセンスを標準装着しており、歩行者も検知して緊急自動ブレーキを作動できる。オプションでは助手席エアバッグ(1万6500円)を加えたい。バックモニター内蔵自動防眩ミラー(3万7400円)も安全性を高める。電動格納式ドアミラー(2万2000円)も装着しておくと便利だ。
後席を使う場合は、リアヒーター(2万7500円)やリアクーラー(6万500円)を装着すると快適だが、DXの後席は簡素な造りでヘッドレストも装着されない。
後席はあくまでも緊急用だから、通常の使い方は、畳んで荷物を積んだり趣味の空間として活用するものだ。これでは危険が伴うので、ハイエースDXの後席は、ヘッドレストの装着など安全性を至急向上させる必要がある。
従って現状でハイエースの後席を使いたいユーザーには、DXではなく、最上級のスーパーGLを推奨したい。後席にヘッドレストが装着されて座り心地もよくなり、120mmの前後スライド機能も備わる。
ライトを自動的に点消灯するコンライトなども装着され、サスペンションの設定を独自に変更して乗り心地も向上させた。
スーパーGL専用のメーカーオプションとして、スマートエントリー&スタート(3万1900円)、両側の電動スライドドア(9万6800円)なども用意している。
メッキパーツを採用するなど内装の質も高めたから、スーパーGLはミニバン感覚のグレードといえるだろう。
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