4代目BP、BL型レガシィ/2003年6月
2003年に登場した4代目レガシィは、あらゆる面で完成度が高く、いまでも歴代レガシイの中でもベストと名高いモデル。EJ20エンジン搭載車のなかでは、僕にとっては一番忘れられない名車といっていい。
肝心のEJ20は、当時すでにインプレッサのSTIモデルで採用していた等長等爆エキゾーストマニホールドはもとより、2代目~3代目のシーケンシャルツインターボにトルクの谷があると指摘されたことを受けて初代以来となるシングルタービンを採用。
さらにツインスクロールターボの採用により低回転で最大トルクを発生すること高出力と実用性を両立した。また、ATを5速化したのもこのときだ。
ターボは2、3代目レガシィで採用された2ステージツインターボから、ツインスクロール・シングルチタンターボに変更。
チタンアルミタービン化によりターボシステムだけで15kg、エンジン全体で23kg軽量化している。
シリンダーヘッドは駄肉除去と薄肉化、シリンダーブロックは薄肉鋳肌ライナー(鋳鉄製)の採用、ピストンも冠面裏の薄肉化がはかられたなど、EJ20-Rは内部がかなり削ぎ落とされて軽くなった。
軽量化のみならず、ライナーとシリンダーブロックの密着性も向上。ライナーの真円度も高まり、ピストンの振動が大幅に減少した。
さらに、クランクジャーナルのハウジング部には鉄系の高強度合金を鋳込み、ハウジング部の熱膨張によりクリアランスの変化を抑える工夫も施している。
そんな改良もあってか、この世代のEJ20はいずれも軽く回るようになった印象が強い。
さらに、DOHCのNAの吸気側のみ採用していた3代目レガシィの可変バルブタイミング機構のAVCSも採用を拡大し、ターボでは吸排気の両側に採用。これにより実用域のトルクが増し、EJ20ターボは劇的に扱いやすくなった。
また、DOHC版のNAのEJ20が大激変したことも大きな注目を集めた。これまでの2L、NAエンジンは中低速トルク重視の実用車向けユニットだったが、中低速トルクを維持したまま大幅な高回転化と高出力化に成功。
新形状のインテークマニホールドや吸気バルブにAVCSを採用するなどしてMT向けは7100rpmで190psを発生し、NAスポーツユニットとして生まれ変わっている。
等長等爆化による改良効果がもっとも大きかったのはNAのEJ20で、軽量ボディも相まって、待望のNAスポーツグレード2.0Rが誕生。
4代目レガシィは歴代SUBARU車で唯一6気筒エンジンをMTで操れたことも合わせて、「NAでも官能的なスポーツ性を愉しめるレガシィ」としても称えられている。
全車等長等爆化されたことで排気干渉が低減し、全エンジンとも中低速トルクが向上。各気筒からの燃焼圧力波が均等に干渉することになり、濁り感のない排気音となった。
ボディサイズについて、次世代以降で一気に大型化したため、この世代のサイズがよかったという声はいまだに大きいわけだが、レガシィとして初の3ナンバーボディとなったことで、それまで指摘されることの多かったステアリング切れ角が増して最小回転半径が小さくなり取り回し性が改善した。
また、当時としてはボディサイズが、従来より拡大しながらもアルミや高張力鋼板の積極導入により従来比で約100kgの軽量化を実現したのも特徴だ。
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