初代インプレッサWRX STi Ver.III タイプRA/1996年9月
レガシィを擁しWRCに参戦したスバルだが、なかなか思うよう好成績を挙げられずにいた。
そこで、WRCを戦うにはより小型で軽量なクルマが必要と考えたスバルは、レガシィの弟分として1992年にインプレッサをラインアップに加えた。
まだ「STI(当時は「STi」)」と名の付くモデルが出る前に、単に「WRX」というグレードが存在し、EJ20はレガシィRSをしのぐ240psを発生した。
また、1994年初頭にはSTIが手がけたコンプリートカーである、鍛造ピストンを採用するなどファインチューンを施し260psのEJ20を搭載した、のちにインプレッサの象徴的存在となる「STiバージョン」が限定販売された。
さらに、同年秋にはセダンWRX系も260psにパワーアップし、「WRX RA STi」がラインアップに加わった。
インプレッサWRX STIバージョンはのちにカタログモデルとなり、好敵手である三菱のランサーエボリューションとしのぎを削っていくのはご存知のとおり。お互い進化を繰り返し、エンジン出力も向上させていくなかで、インプレッサWRX STIバージョンIIIとなり、ついに280psを達成した。
やはり初代STIバージョンのなかでも究極はアプライドD型と呼ばれるバージョンIIIのタイプRAだろう。
エンジンのパワーフィール、車体の剛性感、ハンドリング、どれをとってもSTIらしいクルマだった。
2代目インプレッサWRX STI スペックCタイプRA-R/2006年11月
やがてインプレッサがWRXは2000年に2代目に移行したが、「丸目」と呼ばれた初期型のデザインは不評。
そして2002年に「涙目」と呼ばれるオーソドックスな顔つきになるとともに、等長等爆エキゾーストを採用。これにより特徴的なボクサーサウンドがなくなった。
しのぎを削っていたランサーエボリューションに対しても、それまではエンジン性能で上回るランサーとコーナリングに勝るインプレッサという図式だったところが逆転し、AYCやACDなどの独自の駆動力制御により高いコーナリング性能を身に着けたランサーとの力関係にも変化が訪れた。
そのなかでも究極は、涙目から鷹の目に変わり、ロードゴーイングレーサー的硬派モデルとして送り出された、インプレッサ WRX STI スペックC タイプRA-Rだ。
エンジンはベースのスペックCに対して、ボールベアリングターボのタービンブレードの枚数を減らした上に形状を最適化している。
さらに、エアインテークダクト形状をストレート化して吸気効率を高めており、ECUを変更して、中高速域でのレスポンスを向上させ、320ps/44.0kgmまで強化されている。
本気で攻めるため強化されたのが、ブレンボ製のブレーキで、フロントは対向6ポットキャリパーを採用。ブッシュ類をすべてピロボール化するなど徹底的に足を固め、スペックCに対して15mmのローダウン化も図っている。
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