■野獣たちの合間を縫って、勝負のセッティング
いよいよ決勝レース1。予選までのデータを基にもうワンステップ仕様変更。当たればトップ争い。外れたとしても、失うものは無い。
レース2で勝負すればいいという一か八かのチャレンジ! ローリングスタート方式は日本と同じだが、日本はスタートラインまで追い越し禁止だが、シグナルがグリーンになった瞬間からオーバーテイクOK!
ピケラッ、ピケラッ、ピケラッ、ゴー! スポッターを務めてくれたロジャーからスタートを知らせる無線が入る。全開! レースは45分の長丁場。連続周回のデータもないから様子を見ながら安全にスタートしたが、皆さん野獣(笑)。
右に左にコースアウトだらけ。こっちのコースはグラベルが単なる土なので、砂利にはまってしまうことが無いどころか、大きなロスもなく戻って来られるから厄介。
しかも土埃の粒子が細かいからブラインド効果抜群。コイツがなかなか消えない。
残念なことにセッティング変更は大失敗。それほど大きな変更をしたつもりはなかったのだが、ハンドリングはフニャフニャ。決勝レースにキッチリ合わせてきた山野選手にあっという間に抜かれてしまう。
しかし、この調子でいけばコースアウトやクラッシュがバンバン起きて……と思ったら、大きな事件は起こらずに終了。16位(涙)。
■これぞアメリカンドリーム
あまりにも残念なリザルトだったが、レース後にフニャフニャの原因が発覚。キッチリ整備してレース2。やる気満々、気合いを入れてスタートしたところが、ターン2立ち上がりでミサイル着弾。コースオフしたマシンが目の前に飛び込んできたのだ。
フロント部分にダメージを食らったため、オイルやクーラントが漏れているに違いないと一度はその場でレースを諦めたが、油圧も水温も異常なし。
恐る恐るコースに戻ってみると、ステアリングのセンターも狂っていない。ということは、足回りにダメージが無い可能性が高いということ。
ピットに戻るとあっという間に修復……というか、外れそうなバンパーを切り取り、落ちそうなパーツをむしり取り、テーピングし、2Lapダウンでコースに復帰。とは言え、残念としか言いようのない結果に終わってしまった。
初挑戦のMX5世界戦。ラグナ・セカのコース攻略にも苦労をしたが、ドライバーのレベルも想像以上に高かった。もし、ミサイルを食らわなかったとしてもトップグループが見える場所でチェッカーを受けることは出来なかっただろう。
ラグナ・セカでトップ争いをするには5年必要と言っていたチャンピオンの言葉が蘇る。言いたいことはいろいろあるが、一言で言えばエキサイティングな週末。初参戦としては充分に楽しめたが、来年は言い訳の出来ない万全なチーム体制で臨みたい!
否、その前に、チャレンジャーとしてレースを戦うチャンスを与えてくれたマツダに感謝したい。
優勝は、今年のシリーズチャンピオンを獲得したパトリック・ギャラガー選手。彼は、このレースで7万5000ドル。シリーズチャンピオン獲得で20万ドルをGET!
これがアメリカンドリーム。アメリカンレース。驚いたのはそのシステムで、今回の7万5000ドルはクルマを買おうが何をしようが自由なのだが、シリーズ賞金の20万ドルはレースの奨学金。レース以外に使うことは許されないのだという。
ちなみに、スカイアクティブエンジンを使用するインディ・ライツのチャンピオンが手にした奨学金は100万ドル。これらの大金は、レース界を巡ることになる。
日本では馴染みのないアメリカンモータースポーツだが、アメリカの大きさを目の当たりにすると共に、アメリカのレース界におけるマツダの存在感の大きさに驚くと共に、誇らしく思った。
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