予選落ちしたクルマでも模擬レース=コンソレーションレースが行われる
ヤリスカップでは、予選落ちをしたドライバーにも「コンソレーションレース」が用意されています。コンソレーションレースとは、予選落ちのドライバーが4周のスプリントレースを行う、いわゆる模擬レース。この富士ラウンドでは、32台の車両がコンソレーションレースに参加しました。これだけ台数となると、普通のレースと変わらない雰囲気です。
グリッドに並んだクルマのなかで、茉彩さんの車両の前にはたくさんの人だかりが。今回、織戸さんの関係者だけではなく、お母さんやご兄弟、そして茉彩さんのお友達も応援に来ていました。お友達もサーキット自体が初めてだそうで、「私たちの方が緊張しているかも……」と心配そうに、そしてあたたかく見守っています。
コンソレーションレースは、決勝と同じくスタンディングスタート。茉彩さんは、31番グリッドからのスタートですが、どうやら最後尾のほうからシグナルが上手く見えなかった様子。
最初は出遅れたものの、必死に前のドライバーについて行きます。4周のレースはあっという間でしたが、上位陣は激しいバトルをするなど、見応えのある順位争いも繰り広げられていました。茉彩さんは、最後尾でフィニッシュし、無事に初戦を終えることができました。
ヤリスカップ初戦を終えて
茉彩さんがピットへ帰ってくると、みんなが拍手で迎え入れました。織戸さんもホッとした様子。
「無事に終われたことが何よりです。想像以上よりも遅かったけどね(笑)。茉彩もレースを経験できたので、これから楽しみながらもっとレースの新しい景色を見て欲しいですね。僕たちも一緒にそれを楽しみたいと思います」。
そんな話をしていると、茉彩さんも登場。予選と違ってレースになるとまた雰囲気は違ったのでは? と聞いてみると、「後方からのスタートだったので、誰も後ろから追ってこないし、自分としては気持ちよく走れました(笑)。次戦ではもっとレースできたらいいなと思います」。
すると織戸さんが、「今回のレースの反省点としては、もうちょっと2〜4周目を攻めても良かったんじゃないかな」「だね、もうちょっと行けた」「前のクルマ抜いてやる!とか思わなかったの?」「抜きたいって気持ちはもってやってたんだけど……どんどん離れちゃった(笑)」。しばらく微笑ましいやりとりは続いていました。
茉彩さんに、今回のレースでの気づきを聞いてみると「レースに向けての準備が一番大変なんだなと思いました。練習したり、クルマに合った走りをもっと勉強してくればよかったなって。勉強不足でしたね。今日はレースを楽しんだだけで終わってしまったので、次戦では悔しい気持ちが湧いてくるようなレースがしたいです!」と前向きに答えてくれました。
織戸さんも「これからも家族みんなで茉彩のことをサポートしたいと思っています。まずはエンジョイしてもらうことが一番かな。僕も30年以上レースをやらせてもらっているので、次のステップとして、レースを楽しむ場を作ることが大切だと思っています。こういった取り組みを率先してやることで『自分も参戦してみようかな』とか『家族で参加して楽しみたい』と思ってくれる人たちが増えたら嬉しいですね」。
織戸さんも、今回のヤリスカップのように家族全員で週末を楽しむことが少なくなっていたのだそう。「家族旅行やキャンプのような感覚でレースを楽しむのもありかなぁ」と笑う織戸さん。
初心者ドライバーにも、ベテランドライバーにも、そしてそれを応援に来る人たちにも、新しいレースの世界を見せてくれる「ヤリスカップ」。興味のある方は、ぜひこの一員になってみてはいかがでしょうか?
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