■笹原選手自身が感じた「優勝への4つのポイント」
――今回のレースで優勝できたポイントは?
「レース中にターニングポイントが4つありました。
まずスタート。出だしは良かったけれど行き場がなくて引くしかなく、イン側で粘るしかないという感じで1コーナーに入ったら接触が起きていて、目の前を横切ってきた平川亮選手をギリッギリ避けられたんです。アクセル全開に踏んだ瞬間にすぐブレーキ! みたいな感じで本当にギリギリで」
――生き残った。
「はい。第2のポイントはフェネストラズ選手クラッシュ後のレース再開時に山本尚貴選手をオーバーテイクできたことです。山本選手はその後ペナルティで後退しましたが、あそこで数周ひっかかるとひっかからないではその後の展開が大きく変わったと思います」
――3つ目は?
「山本選手を抜いた後の戦略をどうするか、チームとずっとコミュニケーションをとってました。前にいて優先権のある野尻智紀選手を含めた戦略です。
目立たなかったかもしれませんが僕のペースが速かったこと、野尻さんをふくめた上位選手が予想より早くピットに入ったことを受けて、臨機応変に対応したことが3つ目のポイントでした」
――最後4つ目のポイントは。
「最後のセーフティカー(SC)です。オーバーカットが成立しそうなことは確認できていましたが、すぐ前を走る坪井翔選手をどう抜くかが問題でした。
あの時点で自分のタイヤも限界だったので、本当は自分も坪井選手と同じ周にピットに入りたかった。でも狙っている相手と同時に入るのは絶対ダメじゃないですか。1周でも後にと思っていたら坪井選手が先に入ったんです」
――その周回の走りがすごかった。
「それが最大のポイントだったと思います。この1周が結果を左右するとわかっていたので、攻めに攻めてフルに出し切りました」
――チームのタイヤ交換作業も的確でした。
「それでさらに勝利を引き寄せられました」
――ピットアウトした坪井選手に勘違いがあったようですが。
「スーパーGTではSCが表示された瞬間にフルクローズドになり、結果的に全車が隊列を整えて走りましょうという状態になるんですが、SFではSCに追いつくまでレーシングスピードで行かなければなりません。チームも無線でしっかり伝えてきました」
――チームは規則も状況も完全に把握していた。
「僕がピットアウトすると周りに誰もいなくて、タイヤを温めながら全速力でSCに追いついたのがヘアピンを抜けた300Rでした。
もし坪井選手が勘違いしていなくてもトップに出られた可能性は大いにあったなと、後でチームに言われました。『SCで一発大逆転!』と見る人もいるかもしれませんが、仮にあのSCがなくても3番以内に入れたなという手応えがありました。
ペースとしても流れとしても、すべてを引き寄せられる準備ができていたと自分たちは思ってます。あと、オーバーテイクしやすく地力でペースがあれば上がれる富士のコース特性をちゃんと利用できたことが良かった。
ですが何より、土曜から日曜にかけてチームが一生懸命マシンを見直して頑張ってくれたおかげなので、本当にそこに感謝しかないです」(後編に続く)
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