■シフトアップ、シフトダウンが素早く、ダイレクト感が楽しい
いきなりアクセル全開で加速すると、リアが振られるが、アクセルを少し戻すとS字のコーナーをライントレースしていく。MTに比べると、クラッチミートなど気にせずに、ラフにアクセルが踏めるぶん、気持ちの高まりも加速フィールもダンゼンいい感じ。50km/hを超えるくらいまで加速し、そこから急ブレーキ。
「DAT」は8速ATだが、3速入るか入らないかで、ブレーキではすばやく1速に落ちている。とにかくロックアップが効いて、ダイレクト感が凄い!
そこからパイロンを反時計回りに1回転するのだが、勝田さんは「ハイ、踏んで、踏んで!」とそそのかす。その気になって踏むやいなや勝田さんがサイドブレーキを引いてくれ、「くるりっ」とターンが決まる。
「これは楽しいぜ!」と次の周回は自分でサイドを引くが、立ち上がり姿勢がうまくいかない。「ちきしょう!」と思わず声を出すと勝田さんは「次ですよ!」と笑っている。
今回の粋な試乗会は、「グラベル特訓合宿」でもあったのだ。勝田さんが、クルマをコントロールするグラベルの楽しさを教えてくれる。つまり、MTモデルをグラベルで操作しようとすると、我々のような技量では持て余すが、このDATなら路面やコース取り、加減速やステアリングの舵角といった速く走るために必要な要素は何か? そして今何をすべきか? といった考える余裕を与えてくれる。だから、走るのが楽しく、もっと乗っていたい気持ちになるのだとわかった。
DATはパドルやシフトでもギアチェンジが可能だが、Dレンジ入れっぱなしが楽しいし、我々のレベルではそちらが速い。早川さんの気持ちが120%理解できたところで試乗終了。
■女性やハンデのある人も楽しめるDATで広がる可能性
DATの開発は2年余り続いていて、「市販にはまだまだ課題が多い」と齋藤主査は語る。
MTならばクラッチで1速にできるが、DATはいろいろなセンサーによって適正なギアを選択するため、1速が欲しい時に2速からギアが落ちていないという現象が残る。トルクコンバーターの特性として仕方ないと思うが、齋藤さんは「なんとか解決できないか、もがいています」と語る。
モリゾウさんの言う「ゲームチェンジャー」になるためにはそこも乗り越えていかねばならないのかもしれない。ただ、DATが市販されれば、女性やハンデを持った人でも、気軽にGRヤリスを運転できるようになる。つまり、「ドライバーファースト」という観点からも、ゲームチェンジャーになるはずで、DATをぜひ市販化してほしい。
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