話題のドリフトドライバー下田紗弥加さん、そして彼女のドリフトの師匠「サトケン」として知られるマーキュリーエンタープライズの佐藤謙代表が新しいプロジェクトを携えてベストカー編集部を訪れた。以下、下田さんの来歴を紹介しつつ、これまでの活動や今後の目標を伺った。
文:ベストカーWeb編集部、画像:デポルティーバ
■夢だったD1グランプリ「台場大会」にも参加
下田紗弥加さんは、9年前に台場で開催されたD1GPを観て、「いずれ私もこの舞台で走りたい」と決断。ドリフトのプロを目指し、2022年、2023年にD1GPへフル参戦、女性ドライバー史上最高位となる7位になるなど実力を示し、ついに昨年の11月の最終戦、聖地である台場大会にも出場することで長年の夢を果たした。
彼女はここまでの自身の挑戦を<第一章>と位置づけ、今<第二章>のスタートとして新たなドリフト競技「DANGER ZONE(デンジャーゾーン)」に挑戦するという。
今回、ドリフトドライバー下田紗弥加さんと、この「DANGER ZONE」を主催する佐藤謙代氏が編集部に来ていただき、今後の計画を明らかにしてくれた。
佐藤氏いわく、「日本のトップカテゴリーのドリフト大会のマシンは、勝つためにどんどんと先鋭化している。その結果、制作費は数千万円に上り、ドリフトが競技として発展する弊害となっている。現状のルールでは勝てるマシンを持たないドライバーは、テクニック以前に大会を満足に戦うことすらできない」とのこと。そこで佐藤氏は「DANGER ZONE」なる新イベントカテゴリーを立ち上げた。
このカテゴリーでは、ドリフトイベントの高コスト化への対策のひとつとして、大会専用タイヤによるタイヤのワンメイク化をする。
「タイヤをローグリップのワンメイクにすることにより、マシンのハイパワー化が必要なくなり、ドライバーのテクニックとマシンのセットアップがより重要となる。結果的に参戦コストも抑えられる」という。
こうすることで参戦のハードルを低くし、次なるスターが生まれやすく、いずれは凄い技術を持った選手やスーパースターが育つ世界最高峰のドリフト競技の場にしたいと意気込む。
また、「DANGER ZONE」では、純粋にドリフトの腕を競うため、ルールもこれまでのドリフト大会とは一線を画す。ドリフトの演技点だけでなく競技区間のタイムも合算して採点されるスキーのモーグルのような審査方法をとる。
さらに、戦いの舞台はドリフトのルーツでもある「峠」だ。峠の走り屋たちが始めたドリフトが、競技としてサーキットで楽しまれるようになって久しいが、「DANGER ZONE」ではあえて「峠」へと回帰する。
■群馬県碓氷峠に「紗弥加コーナー」誕生
下田さんも「ドリフトの始まりが峠。そして、クールジャパンを代表する日本の漫画のなかで、『頭文字D』(しげの秀一著)は世界中の走り屋のバイブルとなっている。最近中国をはじめアジア諸国によく遠征するが、とにかくイニD人気がすごく高く、みんな日本の峠を走りたいと憧れている。今回DANGER ZONEの会場が今や世界のドリフターのメッカと言ってもいい群馬サイクルスポーツセンター(群サイ)の峠コースということで、私自身も今からワクワクしている」という。
下田さんは『頭文字D』の舞台となっている群馬県渋川市の応援大使を務めており、また『頭文字D』でインパクトブルーのシルエイティを駆る女性ドライバー佐藤真子のホームコース碓氷峠がある安中市の観光大使も務めている。2024年6月8日、9日の全日本ラリーモントレー大会ではこの碓氷峠で爆走して大喝采を浴びた。この反響により、下田さんがドリフト走行で観衆を魅せた熊ノ平は「紗弥加コーナー」と命名され、7月13日には標識の披露イベントも開催された。いまでは碓氷峠の新たな「聖地」として多くのファンが訪れている。
こうした中、「DANGER ZONE」の盛り上げ企画として、『頭文字D』の聖地である渋川、碓氷峠(安中市)でプロモーションムービーを撮影し、下田さんのYouTubeチャンネル等で配信するということで、こちらも大変楽しみだ。群馬のクルマ文化を世界に発信し、インバウンドに寄与するという狙いもあるとのこと。
また、下田さんは『頭文字D』アニメ版で主人公・藤原拓海を担当した声優・三木眞一郎さんとの対談とドリフト挑戦企画をYoutube「ベストカーChannel」にも配信した。
下田さんはこれまでドリフト競技への参戦に加え、ドリフトをエンターテイメント性の高いエクストリームスポーツとし、その魅力を国内外に発信したいと夢見て来た。
自身が9年前に初めてD1GPを観戦して感じた興奮や驚きを、これからは普段クルマやモータースポーツに興味や関心を持っていない人々を含めて広く内外に伝えたい、その夢を実現することが自身の挑戦の<第二章>のメインテーマだという。
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