■コンパクトSUVの販売台数争いはどうなっている?
ライズの登場以降、続々と同クラスのライバルモデルが登場している。2020年6月24日には日産がシリーズハイブリッドのe-POWERエンジン搭載の専用モデル「キックス」を発売、2020年8月31日にはトヨタがヤリスベースの「ヤリスクロス」を発売、そして2021年4月22日にはホンダがヴェゼルをフルモデルチェンジし2代目が登場した。これらニューフェイスの発売後の販売推移はどうなっているか。
今年1~8月の登録実績だと、ヤリスクロスはヤリスシリーズ全体の半分を占めている。月販平均が現在トップセラーの座にあるヤリスクロスは1万台を突破し圧倒的な強みを見せつけている。
それでも生産が間に合わず、納期はガソリンNAが2022年3月、ハイブリッドは2022年5月となっている。推定バックオーダーは5万台以上である。ヤリスのブランドパワー、運転のしやすさ、低燃費、リーズナブルな価格設定、最新の安全装備などが要因として挙げられる。
一方、ライズは今年1~8月の月販平均台数が7677台でヤリスクロスに次いで同クラスSUVの2位となっている。前年同期実績に対しては23.4%もの大幅なマイナスである。
発売後2年が経過し、需要一巡しているのと、ヤリスクロスの登場で、こちらに多少食われているのが要因として挙げられる。
しかしながらこの販売レベルは3位のヴェゼル以下を大きく引き離しているので、健闘しているともいえる。マイナーチェンジ車に切り替えるにあたって現時点ではオーダーストップになっている。
したがって9~10月は激減状態で推移する可能性が強い。11月からは改良モデルが本格的な販売をスタートさせるので、プラスに転じるのは間違いない。
新設定のハイブリッドモデルは従来の1リッターガソリンターボ車に比べて30万円程度値上げになりそうだが、シリーズ全体の半分以上の販売構成比になり、増販に転じる可能性が強い。ヤリスクロスをどこまで追い上げられるか注目される。
3位のヴェゼルは1~8月の月販平均が4010台で前年同期に比べて41.5%もの大幅な増加となっている。今年4月のフルモデルチェンジによる新型車効果が貢献している。
従来モデルは3月まで販売していたので、それまでは大幅なマイナスだった。4月以降は倍増以上の大幅な増加でライズに約月販2000台差と迫っている。多数のバックオーダーを抱えており、納期は半年待ちの2022年3月となっている。
新型車で大幅なクオリティアップ図り、新感覚のエクステリアデザイン、1.5ハイブリッドモデルは従来の1モーターから2モーターに切り替えることで、燃費&走りのポテンシャルアップを図ったことが売りとなっている。ハイブリッド車の販売構成比は従来モデルの半分程度から80%強に跳ね上がっている。
キックスは月販平均3272台で推移しており、商品性や日産の販売力にしては物足りない実績にとどまっているといえる。納期は年内とあまり待たされることはない。要因として上げられるのはe-POWER車1本に絞ったのと、タイ製の輸入モデルにしたことである。
e-POWER車はシリーズハイブリッドである価格が高い上にアクセルオフの状態だと、急ブレーキがかかり、その違和感が不評といった要因がある。タイからの輸入モデルだと、商品の信頼性に課題があるといったマーケットの受け止め方がネックになっているといった見方がある。
ロッキーはライズの姉妹車であり、同様に11月1日にマイナーチェンジし、ハイブリッド車を設定する。現在までの月販平均1814台は健闘しているといえる。
歴代モデルでトヨタにOEM供給すると、トヨタブランドのほうが圧倒的な販売力の差で、ダイハツブランドは販売台数が極端に少なくなり、影が薄い存在になりがちだった。ところがロッキーはまずまずの台数を稼いでおり、ライバルのスズキクロスビーを上回る販売台数を稼いでいる。これは商品性の高さによるものであろう。
ジムニーシエラは1~8月の月販平均が1243台で前年同期に比べて5.4%減となっている。現行モデルの登場が2018年7月5日で2年が経過しているのに、この販売状況は立派といえる。
納期は引き続き1年以上であり、生産が追い付かない状況にある。軽自動車のジムニーと合わせれば3000台以上に達している。同クラス唯一のクロカン4WDでライバル車不在だから、根強い人気を維持できているといえる。
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