2024年4月を目処に日本国内向けの販売を終了すると発表されたマツダ MAZDA6。フラッグシップセダンの消滅にファンは衝撃を受けたが、販売終了発表後も「次期型MAZDA6」の情報が燻り続けている。今入っている情報を整理する。
※本稿は2024年3月のものです
文、写真、予想CG/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年4月26日号
■ラージプラットフォームはセダンに流用できない?
マツダは新開発ラージプラットフォームの第一弾としてCX-60/70/80/90のSUVを開発。CX-80以外はすでに各国の市場に投入しており、好調なスタートを切っている。
その効果もあって、2023年度第3四半期決算では過去最高利益を更新。2023年度通期でも2500億円の営業利益を見込んでいる。
マツダが「社運をかけた」とも言われるラージ商品群は開幕ダッシュに成功しているわけだが、ちょっと待った。フラッグシップたるマツダ6はどうなっているのか? 多くのクルマ好きが気になっているところだろう。
マツダ6に関しては諸説あり、次期モデルの開発は行われていないという情報もある。その理由として、縦置きエンジン+FRのラージプラットフォームは、PHEVを設定するため床下に大容量バッテリーを置く構造となっていて、車高の低いクルマには使えないからとされている。
つまり、SUV専用プラットフォームになっているというわけで、それだけを聞くと、次期マツダ6は物理的にも作れないということになってしまう。しかし、編集部には「マツダ6の開発は止まっていない」という話がいまだに複数の情報筋から入ってくるのだ。どういうことなのか?
それらの情報を整理すると、3つに集約できる。
まず、中国市場向けに開発が進んでいるというものだ。マツダと中国の長安汽車は共同開発の新エネルギー車を2025年末までに投入する計画で、第一弾のコンセプトカーを4月25日開幕の北京モーターショーに出展する。
背の低いセダンタイプのシルエットはすでに公開されており、それが次期マツダ6に当たるのではないかというのである。
ホンダがオデッセイを中国から輸入して販売しているように、もしもそれがマツダ6なら、日本に導入する可能性もゼロではない。しかし、その場合はFRのラージプラットフォームではないし、さすがにマツダも「マツダ6」をそういう形でラインナップする可能性は極めて低いと思われる。
■復活へ向けた「複数の可能性」
次に考えられるのが、やはりラージプラットフォームを使って次期モデルを開発するというものだ。現在も水面下で開発が進んでいるという話もある。
前述した「ラージプラットフォームは背の低いクルマには使えない」という情報が正確だった場合、クラウンクロスオーバーのようなクルマに生まれ変わる可能性もあるが、一方で、「ラージプラットフォームは最低地上高160mmまで対応できる」という証言もある。
現行マツダ6の最低地上高は160mmで、このままでも不可能ではないが、背の低いクルマ用に少し手を入れる可能性もある。
関係者は「マツダはマツダ6の重要性を理解しています。ラージプラットフォームはSUV専用でも、マツダ6にも使える改良をするだけの価値はあると判断しているはずです」と言う。
ここで重要なのは、新開発ラージプラットフォームが好調に発進し、利益向上に貢献していること。マツダは(“現時点では”の注釈は付くが)賭けに勝ったのだ。「それならマツダ6もやるべきだ」という意見が社内で上がってもおかしくないし、実際、そういう動きも見えているという。
そして、もうひとつの可能性もある。「マツダ6はBEV専用車として2028年に登場する」というものだ。マツダは2027年にBEV専用プラットフォームを投入し、2028年からモデルを増やす計画で、その目玉としてマツダ6を復活させるというのだ。いわば「温存させておく」というやり方だ。
編集部に入っている次期マツダ6情報を整理すると、
1.中国から輸入
2.ラージプラットフォームを改良して開発
3.BEV専用車で2028年に復活
という3つの道筋が浮かび上がる。マツダがどう動いているのか現状では不明だが、マツダ6を重要だと考えていることは間違いない。
ベストカーとしてはFRのラージプラットフォームで開発される次期マツダ6に最も期待したいが、どうなるか。新たな情報が入りしだい、またお伝えする。
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