社員の気持ちに寄り添い2024年問題で深刻化するドライバーの確保と働き方改革を実践! 福岡県のMiyamaコーポレーションの場合

何よりも大事なのはコミュニケーション

 居場所を作るために「コミュニケーションが大事」と言っても、具体的にどうするのか悩んでいる人はけっこう多い。

 降籏社長は代表就任直後から、毎日配送車両に同乗して現場を見せてもらったそうだ。その時にドライバーといろいろな話をして、現場を知ることができた。人と現場を知ることは大事だと痛感し、今は管理職にも定期的に同乗・同行してもらっている。

 管理職と社員、社員同士のコミュニケーションができるように、管理職には相談しやすい環境を作ることを求めている。

 それ以外に、社員同士での「メンター制度」を取り入れたことで、入社してすぐ退社する社員が減った。社員が主導する活動もあり、最近では社内にゴルフ部やバイク部などができたという。

 こうした取り組みには、教員としての経験が活きている。

 「私が教員をしているときに、クラスの雰囲気が良くなるようにとか、子供たちがまとまるように、子供たち同士でお互いを認め合う、『お互い良いとこ探し』というのをしていました。

 実際に管理職の皆さんは、指導する立場になると、人の良いところよりも悪いところに目が行きがちです。そこで、なるべく管理職にはドライバーの良いところに目を向けてもらうように伝えています」。

 管理職が見つけたドライバーの良いところは、面談でドライバーに伝えるようにしている。また、ドライバーからは管理職の良いところを聞いて、社長が管理職に伝えるようにしている。こうした面談方法を取り入れてから、ドライバーがたくさん話をしてくれるようになった。

取り組みの成果は?

 また、「スキルアップしたいがお金がない」という意見に対して、スキルアップ費用を会社で全面的に援助することに決めた。トラックや物流に関する資格だけでなく、介護関係や整理収納アドバイザーとか、ドローン操縦士資格なども補助している。

 いっぽう給与に関する不満に対しては、仕事や給料の「見える化」を進めるために、各部署の仕事内容や給料の内訳を情報開示した。部署ごとに仕事の難易度や拘束時間が違うので給料も違う。その条件を開示することで、社員間の不公平感を無くす目的だ。

 情報を開示することで、社員自身が「次は2トンに乗りたい」「大型に乗りたい」など目標設定もしやすくなった。

 「制服がダサい」という意見については、社員に制服をコーディネートしてもらった。意外にも男性社員がピンクのTシャツを着ていたり、女性はスマートに見えるからとあえて黒や紺を付けたり、カラフルな会社になったそうだ。

 こうした取り組みの結果、昨年度の有給消化は100%だった。出産立ち合い休暇、介護休暇、親の通院への付き添い、授業参観への出席などライフイベントへの参加もかなり実現している。

 特に、男性社員の育休取得を社長が知らない内に管理職が手続きしていた時は、社内で育休や産休が普通にとれる仕組みができたことを嬉しく思ったそうだ。異業種からの転職も多く、10年以上在籍する社員が40%まで増えるなど、定着率も上がった。

 細やかな取り組みと社員とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことが、ドライバーの定着率向上や2024年問題に向けた人手不足対策にもなっている。降籏社長は次のように話している。

 「社員とのコミュニケーションは何よりも大事だと思います。そして何事にもレスポンスは早く、素早い対応。あと、仕事に人を合わせるのではなく、人に仕事を合わせる。

 弊社には聴覚障害のある社員もおりますが、ラインやメールでコミュニケーションをとっています。今はいろいろな技術があるので、障害があるから雇えないのではなく、解決方法をみんなで考えることが大切だと思います」。

 社員の気持ちに寄り添うMiyamaコーポレーションの取り組みは、運送事業にはまだまだ可能性があることを教えてくれると思う。

【画像ギャラリー】Miyamaコーポレーションの車両と降籏社長(7枚)画像ギャラリー

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