38万㎞の試乗車に乗ってみた
なるほど了解しました、ということでお言葉に甘え、カーニバルイエローの試乗車の運転席に腰を下ろす。
何気なく距離計を見ると、走行38万kmを超えてる超多走行車じゃないか! 「ホントに大丈夫なのかよ……」と思うが、いざエンジンをかけて走り出してみると、「大丈夫なのかよ」どころの騒ぎではなかった。
最高であった。
走行38万kmだけあって、さすがにボディは若干のゆるさのようなものも感じないではない。
だが整備済みのサスペンションおよびブッシュやアッパーマウントはひたすらしなやかで、エンジンは8000rpm超までバイクのように吹け上がる。
そして最大トルクが発生するという7000rpm付近では「これ、本当に軽の自然吸気エンジンですか?」と思うぐらいの(感覚的には)極太トルクが発生する。
で、茨城の山坂道でフルブレーキング――というほどではないが、まあとにかく強めのブレーキングをしてみれば、その踏みごたえと利き方はまるでポルシェ911のごとし。
さらに言えば、RRとミッドシップで駆動方式は異なるわけだが、後輪にかかるトラクションの強烈さも、どこか往年のポルシェ911に似ている。さらについでに言えば、暑い日であったがエアコンもビンビンだ。
――磯崎さんっ! サイコーじゃないですか! これがあれば、言っちゃあなんですが、わざわざ高いカネ出してナローポルシェ(初代ポルシェ911)を買う必要はない気がします!
磯崎代表 まぁポルシェとの比較はさておき(笑)、ビートはスペシャルな車ですからね。当時のエンジニアたちが、オヤジ(故・本田宗一郎氏)にホメられたい一心で、本気で、予算もふんだんにかけて作ったクルマですから。そりゃ状態が完調でさえあれば、これぐらい気持ち良く走れるのは当たり前のことなんですよ!
自然吸気ながら64psを発生する直3SOHCの快音に負けじとばかりに、車内の我々は大声で語り合い、試乗を終えてイソマサオートへ戻った。
――ええと、気を取り直して改めてご質問します。最初にお聞きした「いくらぐらいのビートを買えばいいのか?」というのは結局?
磯崎代表 結局、価格うんぬんではなく、当社のような「ビートを愛している専門店で買う」というのが、唯一の確実な方法です。
こういった年式のクルマって、もはや「好き」じゃないとやってられないんですよ。ウチの店長なんて、個人的にビートを11台も所有してる重度のマニアですしね(笑)。
まぁ参考までにあえて価格帯を言うとしたら、ウチが今販売しているビートの支払総額は、下が96万9000円で、いちばん高いのが218万円です。
もちろんいちばん安いやつも「イソマサ セミコンプリートパッケージ」ですから、シリンダーヘッドとトランスミッションはオーバーホール済みで、タイミングベルトも交換済みです。
――これまた最初にお聞きした「ソフトトップの交換にかかる費用」は?
磯崎代表 ソフトトップ自体の部品代は6万円です。ただし、そのほかにゴム製のモールが別途必要で、さらに、ポン付けはできませんので「いろいろな調整作業」が必要になります。そのゴムモール代と工賃が合わせて10万円ですので、合計16万円ということになりますね。
ホンダがビートのパーツを再生産を始めた
――ホンダがビート用部品の再生産を行ったそうですが?
※編集部註:生産終了から約20年が経過した2017年6月、ホンダが一部の純正部品の再販をスタート。再開決定当初の対応パーツはわずか5ヵ所7点程度に限られたが2020年6月現在、予定も含めて109ヵ所までに範囲が広げられている。
ホンダのホームページ内にある専用ページ:BEAT parts
磯崎代表 そうねえ……。いや、もちろん再生産してくれたのはありがたいことなんですけど、我々のような本当の現場の声を聞かないで作っちゃったものだから、割とトンチンカンだったりもするんですよ。
「あまり使わないこの部品はあるのに、しょっちゅう必要になるこの部品がないのはなぜだ?」みたいに(笑)。
でもまあウチは中古パーツもたくさん持ってますし、ない部品は作っちゃいます。そのうえでホンダさんの再生産パーツもあるわけですから、部品については心配ご無用と言えるでしょう。
――ボディカラーはやっぱり「カーニバルイエロー」が一番人気なんですか?
磯崎代表 んー、イエローももちろん人気ですが、むしろバージョンZの「エバーグレイドグリーン」とか、バージョンCの「キャプティバブルー」とかのほうが人気は高いかもしれませんね。
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