R30型スカイラインに強い専門店に取材
ふと「鉄仮面」ことR30日産スカイライン2000ターボRSの後期型のことが気になった。中学生か高校生だった時に憧れていたクルマだ。
とてもじゃないがガキに買える値段のクルマではなかったが(1984年当時の新車価格はスカイライン2000ターボインタークーラーRS-Xで273万9000円)、今ならば、その中古車を買えるのではないか……と思って検索すると、どうやら都内では小金井市の『UTILITAS』というショップが鉄仮面にかなり力を入れている模様。
さっそく電話でアポを取り、鉄仮面および前期型2000ターボRSの中古車事情について詳しく聞いてみることにした。
――ということでUTILITAS代表の池谷祐一さん、鉄仮面の中古車相場も、最近のR32 GT-RとかR34 GT-Rみたいに爆騰してるんですか?
池谷さん 今、世の中は「ちょっと古いモノ」がブームだから、R30の2000ターボRSも昔と比べれば上がってますよ。
でもR32 GT-Rみたいに海外にじゃんじゃん輸出されてるわけでもないし、日本国内でも「最近いきなり盛り上がってきた」という感じはないですね。30年ぐらい前から一貫して静かな人気……みたいな感じかな。
――なるほど、上がってはいるけど「爆騰」ってほどではない、という感じなんですね。……でも、それにしては御社の2000ターボRS、400万円とか600万円という値が付いてますが?
池谷さん 弊社でそのぐらいの値段で販売している個体はレストア済みの車両です。全部バラして、ボディはエンジンルームを含むオールペイント施工、新品部品があるものについては新品パーツに替えて、新品がないものは自社で作ったりリビルトしたり、再メッキしたりして組み上げてます。
そうすると必然的にそのぐらいの価格で販売しないと採算が取れないんですよ。それでも、純粋に時間あたりの工賃を全額転嫁できていない状況です。
――そうなんですか?
池谷さん そりゃそうですよ。例えば売価700万円の商品車にまで仕上げるには、大の大人3人がかりで丸3カ月以上はかかる。……そうするとね、車両原価と部品代、材料費、外注費用なども加算すると、作業工賃を全額転嫁するほどの金額で販売できるほどDR30の中古車相場は高くない手……というのが現状なんです。
もし同じレストア作業をハコスカやS30Zでやれば、こんな低価格で販売することもないのですけどね。もしも収益を追求するなら、R30のレストアなんてやりませんね(苦笑)。
――そんなに儲からないこと、なんでわざわざやってるんですか?
池谷さん そりゃもう「好きだから」というひと言に尽きますよね。子供の頃からスカイラインと桜井眞一郎さんが大好きで、中学生で2000ターボRSに衝撃を受け、次のR31にはぜんぜん惹かれず(笑)、18歳で免許取ったらすぐに鉄仮面を買って……って、浪人したので買ったのは1年後ですが(笑)、まぁそんな感じで“好き”なんですよ。
――クルマ屋さんを始めたのは何歳のときですか?
池谷さん 大学生のときからすでに車屋みたいなことはしてましたね。体育会の自動車部で練習するかたわら、友人のクルマの車検を取ってあげたり、中古車を探してあげたり。で、そのまま就職しないで、自分でクルマ屋を始めたわけです。
――最初の段階からR30型RSをご専門で?
池谷さん いや最初のうちは、自分が大好きな2000ターボRSとランドクルーザーのほかに、普通のミニバンとかも置いてたんですよ。
でもそっちはなぜかあんまり売れなかったし、自分が大好きで、自信をもって仕上げた2000ターボRSを、これまた2000ターボRSのことが大好きなお客さんが「これ、クルマがいいね!(状態がいいね!)」って言ってくれると、こっちも嬉しいじゃないですか?
それでどんどんそっちのほうに特化していった感じですね。でも、今だってご注文があれば何だって販売しますよ。それこそプリウスだって、ダンプだって。なんたって私は“クルマ屋”ですから!
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