新品の純正部品はまだ買えるのか?
――プリウスはさておき(笑)、鉄仮面とか前期型の2000ターボRSって、今でも新品の純正部品はメーカーから出るんですか?
池谷さん レストア時に必要なボディ関連パーツをはじめ、ブレーキやエンジン回りの部品すらも日産さんからは入手できない状況ですね。ゴーンさんの改革があったときに全部廃番になりました。
――じゃ、整備とかはどうすりゃいいんですか!
池谷さん 弊社の場合は、私が約30年にわたって集め続けた中古部品も中古ボディも山ほどあるし、必要な新品パーツもストックしてるから問題ないですけどね。ないものは代用品を使用したり、自社オリジナル部品を製作している場合もあります。
中古車選びは販売店選び!
――なるほど。パーツ供給に関しては、少なくとも御社で車両を買って面倒を見てもらう場合には心配なし、と。ありがちな質問ですが、鉄仮面および前期型2000ターボRSの中古車選びの際に気をつけるウイークポイントは?
池谷さん ……そういった質問に対してはですね、私はいつもこう答えることにしてるんです。「中古車選びは“クルマ選び”ではなく“販売店選び”が重要」ってね。
――どういうことですか?
池谷 DR30に限らず一般的に、プロが販売する中古車に対して素人が“クルマ選び”をするのは難しいと思います。
テキトーなクルマをロクに整備もせず、見えるところだけキレイにして「古い車ですから、まぁこんなもんですよ」みたいに説明しながら売ってる販売店って、本当に多いんですよ。
でもあなた、それを見抜く眼力はありますか? 相手は海千山千のプロですよ?
――ハッキリ言って見抜く眼力はないですね。見抜けない自信にあふれてます!
池谷さん それが普通だと思います。だから、ウイークポイントがどうのこうのと言いながら“車選び”をしても意味ないんですよ。
そんなこと言ったら、車齢30年のDR30スカイラインは過去に大きな事故をしている可能性もありますし、どの部位も壊れる可能性がある(笑)。
だから、「この販売店/セールスマンが言ってることは信用できるかどうか?」という部分の見極めに全精力を使うべきだと思いますね。そうすれば、満足のいく旧車が買えるはずです。
――なるほど……。話としてはよくわかりますが、それでも「UTILITASで400万円とかで買うのではなく、ヤフオクか何かで格安に買って、それをボチボチ直していく」みたいなやり方も、つい考えてしまうのですが?
池谷さん それはそれで悪くないと思いますよ。そういった考え方もあると思いますし、D.I.Y.でメンテナンスや部品の発注などができる人なら、やってやれないことはないと思います。無理に当社で買っていただく必要はないんですよ。
――ですよね!
池谷さん しかし2020年現在、整備に必要な純正部品の日産からの供給は皆無ですし、整備しながら乗っていくのも一筋縄ではいかない状況です。
格安ベース車を当社の販売車両と同じように仕上げようと思ったら、販売価格以上にお金がかかっちゃうでしょうね。
これはセールストークでもポジショントークでもなんでもなく、実際に取り扱っているからわかってることなんです。
でも、そういったD.I.Y.作業がお好きな方が、あくまで趣味として自分で作業するのは、決して悪いことではないですよね。
――ううむ、そうですか。でも例えばヤフオクとかで格安なやつを買って、それを御社でメンテしてもらうというのはアリですか?
池谷さん 構いませんよ。初期に150万円程度の基本整備を施工いたします。その後は、弊社で車両を買ってくださったお客様の愛車と同じですね。
ただし順番待ちをしていただく必要はあります。弊社で車両を購入してくださったお客様の作業が優先になりますので。
――ううむ、なるほど。鉄仮面および前期型2000ターボRSの世界観というか、購入と維持の秘訣のようなものは、なんとなくわかったと思います。では最後に「これから鉄仮面を買うかも?」という人に向け、メッセージをお願いします。
池谷さん 製造からもはや35年以上が経過した工業製品であるDR30です。維持に対する予算確保と、紫外線と降雨から愛車を守る保管環境の確保をして大切に乗ってあげてください。
弊社で販売している車両は、車両本体価格のほかに納車整備費用30万円(税別)がかかります。
通常、中古車販売の納車整備で30万円の請求をするお店はないと思いますが、購入してからオーナーさんが保守整備に注力する必要がないように、エンジン回りとシャシー回り、特にラジエターやウォーターポンプなどの冷却系統、ブレーキ回りの全オーバーホールとホースやブッシュ類のゴム関係交換、消耗品&油脂類の全交換、エアコンやパワステなど点検およびオーバーホール等々をやります。
同じことをディーラーでやるとなると、30万円の2倍か3倍はかかるはずです(笑)。まぁ本当にご興味があれば、ぜひお問い合わせくださいね。
――本日は取材にご協力いただき、また率直な忌憚なきご意見、ありがとうございました!
■スカイラインハードトップ2000ターボインタークーラーRS-X主要諸元
●ボディサイズ:全長4620×全幅1675×全高1360mm
●ホイールベース:2615mm
●車両重量:1245kg
●エンジン:FJ20ET型直4DOHC4バルブターボ・1990㏄
●最高出力:205ps/6400rpm
●最大トルク:25.0kgm/4000rpm
●トランスミッション/5速MT
●サスペンション:前ストラット/後セミトレーリングアーム
●ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク/後ディスクタイヤ
●タイヤサイズ:205/60R15(ヨコハマ・アドバンA450)
■1984年発売当時新車価格:
・2ドアハードトップ2000ターボインタークーラーRS-X:273万9000円
・2ドアハードトップ2000ターボインタークーラーRS:247万4000円
・4ドアセダン2000ターボインタークーラーRS-X:268万4000円
・4ドアセダン2000ターボインタークーラーRS:241万9000円
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