80スープラはやはりターボ付きか?
トヨタの直6、FR車では、まずは80スープラこと先代のスープラが「要注目の直列6気筒エンジン搭載モデル」ということになるだろう。
80スープラが搭載したエンジンは自然吸気版もターボ版も直列6気筒DOHCで、自然吸気の2JZ-GE型は最高出力225ps、シーケンシャルツインターボ(2ウェイターボ)の2JZ-GTE型は280psを発生する。
ターボ版のほうはマイナーチェンジで可変バルブタイミング機構「VVT-i」を採用した1997年式以降の世代が人気だったが、近頃では「絶対に後期型!」というよりは「あくまで現車のコンディション優先。後期型ターボじゃなくても構わないし、なんなら自然吸気でもOK」という考え方で80スープラを探すユーザーが増えているようだ。
直近の相場は、80スープラ全体としては280万~1100万円といったところ。「自然吸気のSZ系は比較的安価で、ターボのRZ系は比較的高額」という基本的な傾向はもちろんあるが、より具体的には「とはいえ車両価格はコンディション次第で決まる」という側面も強い。
グレード別の相場は、自然吸気のSZ系が280万~390万円、ターボ付きのRZ系が330万~1100万円というのがおおむねの目安だ。
X100系チェイサーツアラーV
そして「今、中古で狙えるトヨタの直6ユニット搭載モデル」といえば、名機1JZ-GTE型エンジンを搭載したX100系チェイサーツアラーVを外すわけにもいくまい。
1JZ-GTE型は、トヨタ社内で開発されたJZ系をベースにヤマハ発動機が開発および生産した2.5Lの直列6気筒ツインターボ付きエンジン。
軽量なセラミックタービンによる鋭いレスポンスと、当時としては圧倒的に少ないターボラグが魅力で、排気音の美しさについても定評があった1JZ-GTEは、まさに時代を代表した名機。
というか、直列6気筒ならではの滑らかな回転感覚と過給による爆発的な加速、そして甲高い咆哮音は、2020年の今となってもなお魅力的。
X100系チェイサーツアラーV全体の中古車相場は120万~390万円といったところだが、2020年12月上旬現在、走行1万km台のワンオーナーMT車には500万円以上のプライスボードが付いているケースも。ただ、一般的には180万~300万円付近がボリュームゾーンだ。
先々代のE90型3シリーズの直6が狙い目
国産車ではなく輸入車に目を向けてみると、「直列6気筒エンジン」といえばやはりBMWこそがメイントピックとなるだろう。
BMW=Bayerische Motoren Werke AG(バイエルン発動機製造株式会社)という社名が表すとおり、元々は「エンジン屋」だったBMWは、主に振動特性の観点から古くから直列6気筒エンジンにこだわり、「シルキーシックス」と呼ばれて多くのファンに愛されてきた。
そして直近のG20型3シリーズにおいても「M340i xドライブ」では直6ターボエンジン搭載しているが、M340i xドライブは新車で買おうとすると約1000万円の世界であり、一番安い中古車でも700万円オーバー。普通に考えて、そうそう簡単に買えるものでもない。
そして先代3シリーズ(F30型)の中古車であっても、直6ターボを搭載した340i系はおおむね300万円以上ということでやや微妙。
300万円というのは手が出なくもない金額だが、「中古車にそれだけ出すなら、いっそ最新の国産車のほうが……」とも思ってしまうのが人情というものだ。
手頃な予算で「ビーエムの直6」を味わうなら、E90型こと先々代3シリーズの330i(前期)または325i(後期)系こそが最適だろう。
E90世代の量販グレードである320iは、それまでの世代の320iとは違って直列4気筒エンジンに換わってしまったのだが、E90の330iおよび325iが搭載したのは直列6気筒DOHCとなる。
2008年までの前期型330iに搭載されたN52型直6ユニットはポート噴射+バルブトロニック(可変バルブタイミング機構)で、2008年途中からの後期325iに搭載されたN53型直6ユニットはバルブトロニック・レスの直噴方式という違いはある。
そして排気音や高回転域での回転感覚までを含めた「気持ちよさ」でいえば、前期330iに搭載されたN52型エンジンのほうが上だとはいえるはず。
だが「中古車としてのコンディション」までを含んだ「本当の意味での総合力」から考えるなら、直噴となった後期325iも「今、おすすめできる直6エンジン搭載車」とすることはできるはずだ。
中古車相場は前期330iが40万~60万円で、後期325iが40万~130万円といったところ。330iの流通量は、もはやかなり少ないが、後期型である325iであれば、まだまだ普通に流通している。
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