F82型M4クーペ/流通台数は先代M3の約2倍の約130台と多い
■おススメは500万円前後、走行3万km台~4万km台のM4 クーペ M DCT
では最後に、一番人気と思われる「M4クーペ」について考えてみよう。といっても、2021年1月に発売された現行型の中古車はまだ0台であるため、考えてみるのは「先代M4クーペ」についてだ。
先代BMW M4クーペは、F32型4シリーズ(要するに先代BMW 4シリーズクーペ)をベースに作られたハイパフォーマンスクーペ。日本に導入されたタイミングは先述した先代M3セダンと同じ2014年2月で、パワートレインも先代M3セダンと同じ最高出力431psの3L直6直噴ツインターボ+7速 M DCTドライブロジックまたは6MTだ。
その後のマイナーチェンジ等においても先代M4クーペは先代M3セダンとほぼ同じ道をたどった。すなわち、2017年5月にマイナーチェンジを受けるとともに「M4コンペティション」が追加され、その後に軽量ハイパワーの「M4 CS」が60台限定で発売され……といった具合である。主な違いはCSの発売時期と、M4コンペティションには2017年8月に6MT版も追加された程度だろうか。
ちなみに先代M4クーペと先代M3セダンは、ボディタイプは違うが、前後の軸重も含めて車両重量はほぼ同じ。それゆえドライブフィールもほぼ同じなので(まあレーサーが運転すれば超微妙な違いも感知するのかもしれないが)、どちらを選ぶかは「デザイン的な好み」で決めるのが一番だろう。
そして先代BMW M4クーペの中古車事情はどうなっているかといえば、まず流通量は、前述したとおり先代M3セダンの約2倍となる全国約130台。この種の車=輸入ハイパフォーマンスクーペとしては「多い」と評せる台数だ。
気になる価格は、モデル全体としては400万~1800万円といったところ。ただし上限である1800万円付近の個体は、先ほど書き忘れた30台のみの特別限定車「M4 GTS(最高出力500ps!)」であるため、筆者のようなド庶民にはあまり関係がない。
また1000万円以上の個体も「エディション ヘリテージ」や「DTM Champion Edition」などの希少で高価な限定車である場合が多いため、これまたあまり関係がない。
しかし逆に400万円ほどの底値物件はけっこうな過走行車だったりもするため、こちらはあまり食指が動かない。
あくまで中古車として見た場合に好バランスなのは、ズバリ「車両価格500万円前後、走行3万km台か4万km台」のM4 クーペ M DCTドライブロジックだ。
さすがに新車のM4クーペと比べてしまうと、ハードウェアの面で見劣りする部分はある。だがまだまだ現役感は十分なこのクルマで、過給器付きエンジンとしては異例の7300rpmで431psの最高出力を発揮するBMW製直6ユニットならではの快感を、安全に留意しながらしみじみと味わうのはかなり素敵な行為である。
M4クーペだけでなくM3セダンもM2クーペも、中古車であっても決して安い買い物ではない。
しかし「BMW M社の手による珠玉のガソリン直列6気筒を味わうため」と考えるなら、つまり「ある種の世界遺産を手に入れるため」と考えるなら、決して高すぎるとは言えないはずなのだ。
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