ビッグモーターの騒動以降、中古車購入に踏み出せない人が増えている。実際にはそんなことはまったくない。長く中古車事情を観察してきたプロが、安心して中古車を買うコツを伝授しよう。
文/萩原文博、写真/萩原文博、ベストカー編集部、Adobestock(トップ画像=KATSU@AdobeStock)
※画像は本文の内容とは関係ありません。
■一部の不正で中古車全体のイメージが傷付いた
2022年度(2022年4月~2023年3月)の中古車の売上高ランキングを見てみると、1位が約5800億円のビッグモーター。2位が約4200億円のネクステージ、そして約4100億円で僅差の3位がガリバーを運営するIDOMだった。
すでにご存じのとおり、シェア約15%を占める業界No.1だったビッグモーターは、2023年7月に板金部門が損害保険会社に不適切な保険金請求をしていたことを発端に、同月の国土交通省の立ち入り検査に続き、9月には金融庁の立ち入り検査が入り、問題は拡大するばかりである。
また、業界No.1だったビッグモーターに続き、No.2のネクステージにも保険加入による不正が発覚し、社長が辞任。株価が大きく下がってしまっている。
中古車の売り上げがトップと第2位の販売店による不正が次々と明らかとなり、中古車販売店全体に悪影響が出ている。7月のビッグモーターの記者会見以降ピタッと客足が途絶えたという販売店が多くなっているのだ。
しかし不正を行っていたのは、一部の販売店で、真摯に商売を行っている販売店も多い。そこで今回は、シーン別に失敗しない中古車販売店選びのチェックポイントを紹介しよう。
■中古車への正しい知識を持てば良い買い物が出来る
筆者は15年以上中古車メディアに籍を置いていたが、「中古車選びは販売店選び」だと信じている。
新車と異なり中古車は1台1台、前オーナーの使い方やメンテナンスの頻度によってコンディションが異なる。したがって価格が異なるため定価がない。だからその価格の根拠をしっかりと説明してくれる販売店選びが大切なのだ。
また中古車販売というのは、手数料ビジネスである。ユーザーが中古車を購入した際に、実際に乗り出すためには車両本体価格に加えて諸費用が必要となる。
その諸費用は法定費用と呼ばれるどの販売店でも同じ。税金や自賠責保険のほか、販売店によって異なる車庫証明の代行手続きやナンバー変更の代行手続きといった代行費用が発生するのだ。
悪質といわれている中古車販売店は、この車両本体価格を安く設定し、諸費用のなかの手数料をあれこれ加算、さらに代行費用を高く取っていることが多いのだ。
しかし2023年10月1日の規約改定で中古車は支払総額表示へと変わった。今回の規約改定では、諸費用は保険料、税金、登録などに伴う費用(登録など手続き代行費用)のみとなり、納車準備費用や車内清掃などの納車前の最低限必要な整備や点検などは車両本体価格に含んで表示することとなる。
この結果、車両本体価格を安く表示して、諸費用を高くするというこれまでの「悪行」が行いにくくなるのだ。
中古車を購入する際には、ユーザーにも知識が求められる。クルマを購入する際には車両本体価格に加えて諸費用が発生することや、諸費用とはどのようなモノが含まれているのか。そういったことはクルマの実車チェックより重要である。
現在、ビッグモーターで購入したユーザーによる消費生活センターへの相談件数が2023年4月以降、わずか5カ月で1,425件あり、前年度分を上回っているという。
ビッグモーターは、そのエリアの一等地と言えそうな場所に大きな敷地を確保し、キレイな店舗、キレイなクルマをたくさん展示。さらにディーラー系販売店のように、整備工場そして車検の施設も設置するなど、とても良い店のように見える。
こういったイメージで購入したユーザーが、消費生活センターに相談していると思われるが、実際、見た目のイメージにだまされずに、中古車売買を成功させるためにはどうすれば良いかを紹介しよう。
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