中古車は新車と違って千差万別、コンディションひとつとってもいろいろ。かなり古いモデルもあれば、高年式のものもあるが、本企画では現行モデルに限定し、中古マーケットで値落ちの大きいクルマ、ミニバン、SUV、セダン、スポーツカー、軽自動車のそれぞれのジャンルで1台ずつ合計5台を紹介していく。
かなりお得なモデルもあるので要チェック!
文:萩原文博/写真NISSAN、SUBARU、SUZUKI、ベストカー編集部
見た目にこだわるなら現行モデル
クルマは運転支援システムをはじめ、環境性能、燃費性能など日進月歩進歩している。その結果、車両本体価格の高騰に繋がっている。一部の旧車を愛する人を除いて多くの人は、高い安全性と燃費性能を実現している新車がほしいと思うはず。

しかし、人それぞれクルマの購入予算が決まっているはずだ。新車は欲しいけれども、潤沢な予算はないそういう人にとっては価格の安い中古車という選択になる。
年式が進んだ中古車は価格が安くなるいっぽうで、安全装備などは見劣りする部分がある。そのうえ、現行型とは違う外観ということにより、古さを引き立てることになってしまう。
今回は見た目にこだわるユーザーに向けて、中古車でも新車で購入できる現行型の中から、値落ち幅の大きな5車種をミニバン、SUV、セダン、軽自動車、スポーツカーの中から各1車種ずつ紹介する。
値落ち幅の大きな車種を紹介する前に、今回の選定基準について触れておきたい。
ひと言で現行型といっても先日登場したばかりのダイハツタントもあれば、約10年前の2006年に登場したトヨタエスティマもある。単純な値落ち額で比較してしまうと当然のことだが、モデルライフの長いクルマが上位にきてしまう。

そこで、今回は値落ち幅が大きくなる最初の車検サイクル前の2016年~2017年式の中古車相場を基準として選んでみた。
そうなると、2018年に登場したスズキジムニーなど高年式のモデルがまだ中古車の数が少なく中古車相場も高いため除外とさせてもらった。前置きが長くなってしまったが、それでは現行型中古車で値落ちの大きなクルマ5車種を紹介しよう。
ミニバン/日産エルグランド
デビュー:2010年8月
マイナーチェンジ:2015年1月
価格帯(2019年8月販売モデル):331万8840~816万4800円

まずは、現在ファミリーカーの定番となっているミニバンから。
中古車の特徴として挙げられるのは、新車とは異なり「人気」という要素が中古車相場に与える影響が大きい。
ミニバンではアルファード/ヴェルファイアを筆頭にヴォクシー/ノアなど人気の高いトヨタ車のミニバンの値落ちは渋くなっている。
その中で、現行型ながら大きな値落ちを示しているのが日産エルグランドだ。LLサイズミニバン市場においてアルファード/ヴェルファイアに圧倒的なシェアを奪われていることもあり、大幅な値落ちを示している。
現行型エルグランドは2010年に登場しているが、2014年に行ったマイナーチェンジ以降のモデルも流通台数は少ないものの値落ち基調が続いており、割安感が高まっている。現在、現行型エルグランドの中古車は約1000台流通しており、そのうち約460台が大きなフロントグリルを採用した後期型となっている。

最新のエルグランドの中古車の価格帯を見てみると、最安値は走行距離約18万kmと延びているが約59万円、そして最高値は499万円と広い室内空間が魅力のミニバンが100万円以下でも購入可能だ。
また、マイナーチェンジを行った2014年式以降の後期型でも100万円台前半で手に入れることができる。特に後期型ならば、これが中古車とは思われないのでオススメだ。
狙い目グレードは250ハイウェイスターだが、税金が高く、敬遠されがちな大排気量の350ハイウェイスターのほうが値落ち幅は大きくなっている。
SUV/日産エクストレイル
デビュー:2013年12月
マイナーチェンジ:2017年6月
価格帯(2019年8月販売モデル):223万1280~380万4840円

続いては現在ブームとなっているSUV。
コンパクトサイズから、ミディアムそしてフルサイズと様々な大きさのクルマが販売されているが、その現行型SUVの中で最も大きな値落ち額を示したのが、日産エクストレイルだ。
現行型エクストレイルは2013年12月に登場したミドルサイズSUVが、2016年~2017年式の中古車の平均価格はトヨタC-HRやホンダヴェゼルなどコンパクトサイズSUVを下回っていた。
これは、ミドルサイズSUVにスバルフォレスター、ホンダCR-Vといった新型が2018年に続々と登場した影響が大きな値落ちの要因のひとつといえる。
現在、現行型エクストレイルの中古車は約2100台流通しており、価格帯は約79万~約359万円となっている。100万円以下の物件でも走行距離10万kmを超えるクルマはなく、購入してから長く付き合うことができそうだ。

エクストレイルは2017年6月にマイナーチェンジを行っており、後期型となるマイナーチェンジ後の中古車は約800台流通している。その後期型の価格帯を見てみると最低価格は約136万円で、しかもプロパイロット装着車となっている。
200万円以下で最新の運転支援システム、プロパイロットが付いているなら文句なしに買いだ。
セダン/日産ティアナ
デビュー:2014年2月
マイナーチェンジ:なし(2015年2月&12月一部改良)
価格帯(2019年8月販売モデル):289万6560~351万3240円

最近、ユーザー離れが進んでいるセダン。FRセダンのトヨタマークXが年内で販売終了となるなど寂しいニュースが多い。現在セダンで販売好調といえるのはトヨタクラウンのみで、そのほかの車種ではレクサスLS、ESを除くと厳しい状況となっている。
そのなかで大幅な値落ちを示していたのが、またまた日産車のティアナ。上級モデルであるフーガの値落ちも目立っているが、何しろこちらは中古車の台数が少ないので、ティアナとした。
現行型ティアナは2014年1月に登場して以降、ほとんど改良が行われていない放置プレーのモデル。したがって年式の進んだ初期モデルを購入しても、新車との見分けはつかない。

現在、ティアナの中古車の流通台数は約160台で、価格帯は約76万~約290万円。100万円以下の中古車はまだ1割程度と少ないが、走行距離も5万km以下というコンディションの良さそうな物件が多い。
また、この価格帯でもディーラー系販売店が扱う物件があるのも魅力だ。高級セダンらしくナビやバックカメラといった快適装備が充実した中古車が多いのが特徴といえる。
スポーツカー/スバルBRZ
デビュー:2012年2月
マイナーチェンジ:2016年8月
価格帯(2019年8月販売モデル):243万~359万1000円

国産車ではめっきり数が少なくなったスポーツカーで注目車種はスバルBRZだ。兄弟車のトヨタ86と比較してもBRZのほうが割安感は高くなっている。
この理由のひとつは86の中古車の中にはGRブランドが手掛けた高額なコンプリートカーが含まれており、中古車相場を押し上げていると考えられることは付け加えておきたい。
現在、BRZの中古車の流通台数は約290台で価格帯は約85万~約343万円となっている。BRZは2016年7月にマイナーチェンジを行っているが、マイナーチェンジ後の後期型の流通台数は少なく、狙い目は前期型だ。
ただし、スポーツカーらしく、修復歴あり物件の比率が高いので、購入時には注意してもらいたい。

軽自動車/スズキワゴンR
デビュー:2017年2月
マイナーチェンジ:なし(2017年4月ほか仕様変更はあり)
価格帯(2019年8月販売モデル):107万8920~159万3000円

最後は軽自動車。現在、現行型軽自動車の中で最も値落ち幅が大きくお買い得感が高いクルマとして選んだのはスズキワゴンR。ハイトワゴンのパイオニアであるワゴンRの現行モデルは2017年2月に登場し、以降特別仕様車は設定されているが、外観デザインなどの変更は行われていない。
現行型ワゴンRの中古車の流通台数は販売開始からわずか2年半で約3600台と大量に出回っている。そして価格帯は約50万~約180万円で、買い得感は相当高くなっている。
優れた走行性能と燃費性能を両立したマイルドハイブリッドシステムを搭載したFXでも走行距離がまだ3万km未満にもかかわらず約60万というプライスが付いている。

N-BOXやスペーシア、タントといったスーパーハイトワゴンに押され気味なハイトワゴンのワゴンRならば現行モデルがリーズナブルな価格で手に入れることができるのだ。
やはり良質な中古車を割安な価格で手に入れたいと考えるならば、まずは人気車を外すということが大前提といえるだろう。