ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)は、農業などに従事する高齢者が免許返納の後も乗ることができるバギータイプの小型特殊EV「ディアパソン・C580フォーク1(DIAPASON C580 Fork1)」を、「東京オートサロン2025(2025年1月10日~12日・幕張メッセ)」に出展。2026年に市販化することを明らかにしました。
このモデルは、軽トラック、いわゆる軽トラの代わりに使えるというのがコンセプト。一体どんなクルマなのか聞いてみました。
ヤマハの小型低速EV汎用プラットフォームとは
今回展示された電動バギー風の小型低速EVは、「ディアパソン」というヤマハが研究開発中の小型低速EV汎用プラットフォームを活用したモデルです。
ディアパソンとは、1〜2人乗りの低速パーソナルモビリティでの活用を想定したEVプラットフォームのこと。パワーユニットとなる電動モーターはヤマハ製、バッテリーには携行型のホンダ製「モバイルパワーパックe:」を搭載することを前提に開発が進められています。
ヤマハでは、このプラットフォームを2024年の東京オートサロンで初披露。電動バギータイプやカート風タイプなど、様々な仕様を展示しました。ちなみに、2024年当時、ヤマハはプラットフォームの名称を「YAMAHA MOTOR PLATFORM CONCEPT」としていましたが、2025年からはディアパソンと改名し、さらなる進化を遂げたことをアピールしています。
農作業などにも対応する「C580フォーク1」
そして、今回お披露目となったディアパソン・C580フォーク1。これは、ディアパソンを活用した様々なモデルの中でも、畑地や不整地など、多様な路面環境での優れた走破性とスマートな使い勝手を兼ね備えたC580というタイプを拡張した2人乗りモデルです。
主な装備は、まず、フロントにブルドーザーなどに採用されるブレードと呼ばれる排土板を装備。16インチのホイールにはブロックパターンのタイヤを履かせるなどで、オフロードでの高い走破性も実現します。さらに、車両後方にはトレーラーを連結させ、農作業用などの工具や器具などの積載も可能としています。
ちなみに、このモデルの製作は、農業機械分野で実績を持つ三陽機器や、自動車チューニングで定評のある尾林ファクトリーをはじめとするパートナーと連携して実施したとのこと。小型なボディながら、迫力ある雰囲気や各部に高い質感を誇っているのは、4輪車作りのプロなども参入しているからなんですね。
小型特殊EVにする理由
しかも、このモデルは、前述の通り、2026年に市販化することも決定しているといいます。では、実際に、どんな仕様にして、どんなユーザーに向けて販売することを目指しているのでしょうか?
これについて、ヤマハの担当者は、車両を「小型特殊自動車」に想定、主なターゲットユーザーは、これも前述の通り、「免許を返納した高齢者の中でも、農業などに従事している人たち」だといいます。
小型特殊自動車といえば、トラクターなどが該当しますが、なぜその規格にするのか。その理由は、例えば、普通自動車免許を返納しても小型特殊免許は申請すれば残すことができ、小型特殊自動車であれば引き続き運転できるからです。つまり、例えば、免許返納前は軽トラに乗って生活や仕事をしていた高齢者でも、返納後に小型特殊免許さえ残せば、C580フォーク1を軽トラ代わりに使えるということです。
ただし、小型特殊自動車では、最高速度を15km/h以下にする必要があります。また、車体も全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.8m以下などの規定があるため、あまり大きな車体にできないという問題もあります。
実際、会場では、C580フォーク1のコクピットに乗ることができたのですが、身長164cmの筆者でも、やや窮屈な感じでした。もっと身長の高い人だと運転しにくくなりそうなので、このあたりは今後の開発における課題かもしれません。
オフロード風味満点のカスタム仕様「C580フォーク2」
今回は、ほかにもC580フォーク2という別バージョンも展示されていました。こちらも、プラットフォームはディアパソン・C580ですが、よりスポーティな仕様となっています。
特に、ブロックパターンのゴツいタイヤには、SUV/ピックアップトラック向けタイヤとして有名なトーヨータイヤ製「オープンカントリー」の16インチを装着。4輪アフターメーカーとして名高いワーク製の「マイスターS1」という5スポークホイールや、トーヨータイヤのイメージカラーであるブルーのボディ色などと相まって、カスタム色の強い仕上がりとなっています。
フォーク1もそうですが、フォーク2もかなりデザインが凝っています。ヤマハによれば、これは免許返納後も「かっこいいクルマに乗りたい」という高齢者のニーズが高いことに対応したとのこと。
確かに、筆者も、もし高齢者となり速度15km/h以下の低速車両に乗るとしても、見栄えのいい車両に乗っていたいのは同じ。ヤマハでは、そうしたクルマやバイク好きのマインドも踏まえて開発を進めているようです。
ともあれ、1年後の2026年に、このモデルが最終的にどんな仕様となって販売されるのかも注目。また、続報が入れば紹介しますね。
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/bikenews/434868/
軽トラ代わりに農作業も可能! ヤマハが免許返納後に乗れる小型特殊EVを2026年発売【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery2/?gallery_id=434868&slide=1
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