2024年末に発表されて話題となったホンダ・日産・三菱自動車の3社協業に関する発表だが、三菱自動車は当初から一歩引いたスタンスをとっていることで注目を集めた。それには三菱自動車独自の強みがあるからという見方も……?
文/長谷川 敦、写真/日産、三菱自動車、CarWp.com
三菱自動車合流見送りは事実なのか?
2024年12月、ホンダと日産は経営統合を目指した協議を開始することを記者会見で発表した。
その発表会には日産とルノー・日産・三菱アライアンスという提携グループを組んでいる三菱自動車の加藤隆雄社長も同席していたため、三菱自動車もホンダ・日産連合に加わるものと思われた。
しかし実際には、三菱自動車は2025年1月を目途に合流するかどうかを判断するとの見解を示しただけだった。
ところが、その2025年1月になってからホンダと日産の話し合いが難航し、両社の経営統合が最終的にどうなるのかの決定は2025年2月中旬以降まで先延ばしになってしまった。
はじめから経営統合には積極的でなかった三菱自動車がこの様子を静観するかまえなのは間違いなく、そもそもホンダと日産の方針が決まらないかぎりは三菱自動車としても決断はできないはずだ。
もし三菱自動車がホンダ・日産連合に加わった場合、3社のなかで最も規模の小さい三菱自動車が経営判断などの際に不利になるという見方も多く、これが合流に対して二の足を踏ませている可能性も高い。
それでも連合に加わればメリットも多いはずなのだが、なぜ三菱自動車はそれをしないのか?
それは三菱自動車には独自の経営戦略と実績があり、大メーカー2社の連合に加わらなくても大丈夫との自信もあるからと見られている。
次項では、三菱自動車が強気に出られる理由を見ていくことにしよう。
【画像ギャラリー】三菱自動車の[懐刀車]をもっと見る(17枚)画像ギャラリーホンダ・日産とは戦うフィールドが違う?
近年の三菱自動車は東南アジアでの販売に力を入れていて、実際に順調な実績を残している。
そもそも三菱自動車の全売上高における海外の比率は約90%で、これはホンダの87%や日産の85%と比べても大きい。
わずか数%の差に思えるかもしれないが、実際には自動車の全売上額に対する数%は無視できないほど大きなものになる。
つまり、現時点で三菱自動車が注力したいのは海外での販売をさらに強化することであって、ここがホンダや日産とは異なる戦略になっているという可能性も高い。
だが、経営まで統合してしまうと、力のある2社の方針に準じなくてはならなくなり、思うような海外戦略をとれなくなる場合もある。
少子高齢化が進行する現代の日本では、当然のことながらクルマを含むほとんどの製品が売れなくなってきているのは事実だ。
それに対してアジア諸国の多くが発展途上にあり、将来が期待できるマーケットなのは間違いない。
だからこそ三菱自動車は、誰の影響も受けずに自社の販売戦略を貫くという決断をするのかもしれない。
これが、三菱自動車が自社の株式上場を維持したうえでホンダ・日産連合との協業を進めるという理由だと推察される。
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コメント
コメントの使い方三菱グループだから、三菱の意向もある。次いで言っておくと、日産がホンダとの経営統合を破棄する公算が高く、経営統合自体、白紙となる可能性大。