シリーズハイブリッドといえば日産e-POWERを連想する人は多いだろうが、もうひとつ、ライバルを忘れていないだろうか。それがロッキー/ライズ。こいつの1.2Lハイブリッドはダイハツが独自に開発したすごい技術なのよ!
文と写真:ベストカーWeb編集部
まさかのトヨタのハイブリッドにダメ出し?
街角でもよく見かける人気のコンパクトSUV、ダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズ。現行モデルは2019年に登場したが、売れ行きを牽引しているのは2021年のマイナーチェンジで追加された「e-SMART HYBRID」を積んだモデルだ。
ダイハツはトヨタの子会社だし、トヨタといえばハイブリッドの達人。だからロッキーのハイブリッドはてっきりトヨタの技術を援用するのだろうと思われた。
ところがダイハツは違った。トヨタのシリーズ・パラレル式ハイブリッドは制御や構造が複雑で、コンパクトカーには適さないと判断し、自力開発に踏み切ったのだ。
コンパクトカーのボンネットに収まり、街中の低中速走行に強いシンプルなハイブリッド。となれば、エンジンで発電機を回すシリーズハイブリッドしかない。こうして生まれたのが「e-SMART HYBRID」だ。
【画像ギャラリー】221万円~という価格もうれしいロッキーハイブリッドのお姿がこれよ!(20枚)画像ギャラリー最小回転半径でユニットのコンパクトさが分かる!
「e-SMART HYBRID」の特長はいろいろあるのだが、そもそも発電機を回すエンジン自体が新開発。WA型と呼ばれるこのエンジンは1.2L直列3気筒のDOHCだが、発電に特化することで熱効率40%という高効率を実現した。
ちなみにロッキー/ライズは、このWA型を積む純エンジンモデルもラインナップしている。WA型エンジンが走行用としても優れているためだろうが、こうすればWA型エンジンの生産増にも繋がるため、将来のコストダウンも実現しやすいと判断したのかもしれない。
エンジンだけじゃない。こいつと組み合わされるトランスアクスル(モーターや制御系を一体化した車軸)も新開発だ。ここではいかにコンパクトなアクスルを作るかが課題だったわけだが、発電用と駆動用モーターを並列配置し、組み合わせるギア数を最小とすることでみごと条件をクリアした。
パワーユニットの小ささは最小回転半径からも分かる。ロッキー/ライズは17インチタイヤを履いても5m、16インチタイヤ装着車では4.9mと小回りが利く。これはハイブリッドユニットが小さく、フロントタイヤの切れ角が大きく取れることの証拠なのだ。
「e-SMART HYBRID」と「e-POWER」の比較だが、エンジンが1.2Lという点は同じものの、パワーは前者が78kW(106ps)、後者が85kW(116ps)、WLTCモード燃費では前車が28.0km/L、後者が28.4km/Lとなり、わずかだがe-POWERに一日の長がある「e-SMART HYBRID」には4WDがない点も今後の課題となりそうだ。
とはいえライバルの存在は、製品の競争力を高める大事な条件。今後は日産とダイハツが切磋琢磨し、日本のシリーズハイブリッドを牽引することを期待したい!
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コメント
コメントの使い方言うてもエンジン頻繁にかかってうるさいのでどうしてもダイハツじゃなきゃダメな人以外、素直に本家e-POWERにしといた方が幸せになれる。
熱効率40%も凄いし、日産みたいに「電気自動車の新しい形」等と事実に反した虚偽宣伝をしない所がいい。
「知っての通り簡易型であり、THS-Ⅱより安く仕上がるからこの形式にした」と正直に言ったのは良い。
熱効率は日産は多分40%もいってない。