ホンダ ジェイドが生産終了となることが明らかになった。
ホンダ広報部に確認したところ、「ジェイドは2020年7月に生産終了となります。すでに販売店にも案内を出しています。(生産中止の理由は)事業性を考え、日本のラインナップを再検討した結果です」とのことだった。
なにせジェイドは、とことん売れなかった。これだけ売れなければ、消滅やむなしである。
しかし、ジェイドの車としての評価は思いのほか高かった。そこで、本稿では車生を終えるジェイドに惜別の想いを込め、「ジェイドを高く評価している」という清水草一氏に、その魅力を解説してもらった。
嗚呼ジェイド、君は確かに人気を得られなかったが、素晴らしい車だった。ありがとう、ジェイド!
文:清水草一
写真:編集部、HONDA
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ストリーム消滅の穴を埋めるべく登場した悲運のジェイド
もともとジェイドは、中国市場をメインに開発されたグローバルカーで、日本市場への投入は、ストリーム消滅の穴を埋めるため。
ストリームが消滅したのも販売不振が原因で、そもそも全高の低いスポーティタイプのミニバンは、国内では完全に市場を失っていた。そこに、ストリームよりサイズが大きく価格も高いジェイドを投入しても、売れないであろうことは予想できたんじゃないか……とは言える。
あまりの販売不振により、2018年には2列シートのステーションワゴンタイプが導入されたが、国内ではステーションワゴン市場も微々たるものになっているから、これが起爆剤になるはずもなかった。
しかし、個人的な嗜好ではありますが、私はジェイドが大好きだった。最初に試乗した時から強く惹かれ、真剣に購入を検討したくらいだ。価格を見た瞬間に「高すぎる!」と思い、結局買いませんでしたけど……。
実はジェイドが魅力的である2つの理由
なぜジェイドに魅力を感じたか。第一の理由はデザインだ。
ジェイドは、ミニバンとしてはぶっちぎりに速そうなフォルムを持っており、非常に格好良い。ホンダはかつて、アコードエアロデッキやアヴァンシアというクルマを作ったが、ジェイドのフォルムはその発展形であり完成形である!
フォルムは完ぺきな流線形で、しかもリヤフェンダーの豊かなふくらみが、大地に踏ん張る感を強く醸し出している。斜め後ろから見た姿には惚れ惚れする。
ひょっとしてジェイドは、歴代ホンダ車の中でも、指折りにデザインの優れたクルマだったのではないか。少なくとも初代・2代目ストリームとは、比べ物にならないほど美しい。
パッケージングも秀逸だった。ジェイドは、「3列目シートがメチャメチャ狭い」と酷評され続けたが、そもそもミニバンの3列目なんて、そんなにしょちゅう座るもんですか? 実態としては「たまに」じゃないですかねぇ。ならこの程度で充分。
しかもその3列目シート、しっかり床下に収納できるのである。そのまま一度も使わなくたってぜんぜんかまわない。
2列目の贅沢なキャプテンシートが、V字型に前後スライドするのもカッコよかった。めいっぱい後ろに下げると、シートがセンターに寄る。するとフロントガラスを通して前方視界が良くなって、後席の乗員も気持ち良い。
4人乗り+αとして使えば、実にステキなパッケージングだったのである。逆に5人乗りのステーションワゴン仕様については、特にイイとも何とも思いませんでした。
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