普段気にすることは少ないが、クルマのハンドルはジャンルや世代を問わないで見てみると、グリップ(握り)を含んだ直径が微妙に異なる。
ハンドルの直径・大きさによって何が変わってくるのか? その設計意図やメリット&デメリットなどを改めて考えてみた。
文:永田恵一、写真:Daimler AG、HONDA、日産、プジョー、編集部
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ハンドルの大小によるメリット&デメリットは?
ハンドルを回すとタイヤが切れるのは、「ハンドルを回した力がステアリングシャフト、ステアリングギアボックス、タイロッドを通じて伝わりタイヤが切れる」という仕組み。
これを頭に置いて、ハンドルの大きさによる長短をまとめてみた。
■小径ハンドルのメリット
・ステアリングギアボックスのギア比を小さくしたように、ハンドル操作に対し小さな操作でタイヤが切れるので、クルマがシャープに動く
・程度問題もあるが、特にスポーツ系のモデルだと、インテリア全体から見てハンドルも格好よく見える
■小径ハンドルのデメリット
・クルマの性格や相性もあるが、操作に対しクルマがシャープに動き過ぎる場合もあるため落ち着きに欠けるなど、操作に気を使う傾向となることがある
・ハンドルを回す際の操作力が重くなる
そのためスポーツ系のクルマのハンドルは小さい傾向で、そのなかでもロータス エリーゼやケーターハム セブンといったピュアなスポーツカーのハンドルは特に小さい。
また、現行のプジョーはメーターの視認性向上も目的に径の小さいハンドルを使っている。
■大径ハンドルのメリット
・ステアリングギアボックスのギア比も関係するが、ハンドル操作に対するクルマの動きが小さくなる傾向となりクルマの動きは落ち着く方向となるので、高速道路などをリラックスして運転するには向く
・ハンドルを回す際の操作力が軽くなる。
■大径ハンドルのデメリット
・ハンドルの操作量が多くなる
代表的なハンドルの大きいクルマとしてはトラック全体、10年ほど前までのベンツが挙げられる。
ともにハンドル操作に対しシャープな動きを期待しないクルマである点や、トラックに関しては「パワステ以外でもハンドルを軽くしたい」という意図がありそうなことを考えると、この2つのハンドルが大きい理由もよく分かる。
また、ベンツのハンドルが大きかった理由には「走行中パワステが故障しても、ハンドルが大きい分で操作力を軽くしておけばハンドルが効く可能性が増えるから」ということもあったと言われている。
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