2020年5月28日の決算会見で、その存在が明確にされた新型フェアレディZ。
日産が配信したわずか60秒程度のyoutube動画の最後には、「Z」の1文字とともにロングノーズ&フェアストバックのシルエットが浮かび上がっていた。
2021年末までに新車種としてフェアレディZを日産が投入することを暗示したものだ。
そこで、祝・新型フェアレディZ発売決定記念として、歴代Zの中古車を取りあげたいと思う。
今、手に入れるとすれば、S30型、S130型、Z31型、Z32型、Z33型、Z34型と、果たして歴代モデルのなかで、どの世代が狙い目なのだろうか?
自らS30型240ZGオーナーでもあるモータージャーナリストの岩尾信哉氏が徹底解説する。
文/岩尾信哉
写真/ベストカーweb編集部 日産自動車
【画像ギャラリー】6代51年に渡る歴代フェアレディZはどのモデルが一番売れたのか?
どの世代が人気なのか?
大手中古車情報検索サイトを覗くと、データとしては歴代フェアレディZ全体の流通台数は約700台、平均価格は208万円(90万~608万円)と出てきた。
そこで、流通台数、最低価格と最高価格、平均車両本体価格(数量が限られているため、初代S30と2代目S130を除く)を調べてみた。
なお、最高価格車では、基本的に年式、グレード、走行距離などを確認できるものを選択している。
トヨタ2000GTは7000万円以上、ハコスカGT-Rも2000万円以上、ケンメリGT-Rにいたっては4000万円はくだらないといわれているなか、フェアレデイZの中古車はいくらなのか、気になるところだ。
初代S30型:1969年12月~1978年8月
流通台数:45台、中古車流通価格帯:268~2700万円
1969年10月の東京モーターショーでデビューしたS30型初代フェアレディZは、“Zの父”と呼ばれる「Mr.K」こと故片山 豊氏が「広く手の届くスポーツカーを売りたい」という信念のもと、米国市場での日産(DATSUN)の販売を強化するために生み出された。
足回りを前後ストラットと複雑な形式を避けたのもコストを抑えることを狙っているし、手許にあった2LのL20型直6(北米仕様には2.4LのL24型を設定)を設定したことも同様だ。
なお、初期のグレードはZ(4速MT)、Z-L(5速MT、3速ATを設定)、Z432(5速MT)で構成されていた。
なかでも日本のモータースポーツでの活躍を狙って仕立てられた、初代ZのトップモデルであるZ432は別格といえる。
“箱スカ”スカイラインGT-Rから受け継いだS20型2LDOHC直6を搭載するなど、いまやヒストリックカーとして、高価格な輸入スポーツカーを扱うショップやディーラーでも扱いがあるなど、いわゆる「ASK」「応談」として出回ることが定着しつつさえあるのだから、もはや庶民からは遠い世界へと離れつつある。
1971年11月にはL24型直6を搭載した240Z/240ZGが追加されている。なおGS30型と呼ばれる“2+2”、4シーターの2by2仕様は1974年1月(2.4Lには設定なし)にラインナップされた。
いきなりで恐縮だが、歴代Zの最高価格モデルはZ432であることは疑いようもない。
「ASK」モデルを確認してみると、Z432が1969年式で距離不明のフレストア車両で2700万円、3000万円の正札を掲げるショップがある。
これにレース用ホモロゲーションモデルとして仕立てられたZ432-Rと240Zのレース仕様が加わると、いったいどこまでいくのやらということになる。
240ZGでは1972年式走行距離7万km(!)の車両(全塗装済とのこと)が1080万円への正札を掲げている。
要は半世紀を生き残ったヒストリックスポーツカーの栄誉として、通常の中古車市場から離れた位置づけにあるということだ。
それでも一台“手頃な”モデルを挙げておけば、1977式のGS30型2.0 Z-L 2by2は7.7万kmの走行距離の価格は550万円。
2オーナーのフルレストア済みとのことだった。これでも良心的に思えるのは、筆者が240ZGオーナーであるゆえのバイアスがかかっていることについては否定するべくもない。
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