販売開始されてから、約3か月が経過するハリアー。その人気は衰えるところを知らず、8月の自販連乗用車ブランド通称名別順位では第6位(6231台)に入るなど、総額400万円を超える高額SUVなのに、デビューからトップ10圏内を外れることはない。
人気の一方で、販売現場では、ハリアーの値引きがどんどんと拡大している傾向がある。値引きに対して、厳しい姿勢を続けてきたトヨタディーラーが、人気車種でも安売りする現状に迫る。
文:佐々木 亘
写真:TOYOTA、写真AC
【画像ギャラリー】残価設定ローンで多く買われる、トヨタの人気車種を一挙紹介!!
値引きを拡大してでもハリアーを売りたい
新型コロナウイルスの影響は、販売現場に暗い影を落としている。新車への購買意欲やクルマを買い替えるという動きは少なく、9月に中間決算を迎える多くの販売店は、上期の赤字を覚悟していることだろう。
販社の赤字を小さくするのに効果的なのは、やはり新車の販売だ。特に、高級車の販売は利益率も高く、経営状況を好転させるきっかけにもなりやすい。車両本体価格が400万円を超えるグレードが売れ筋となるハリアーは、まさに販売店を救う救世主なのだ。
現在のハリアーの納期は2021年1月以降となっており、来年3月に迎える決算までには、まだまだ登録が間に合う。中間決算の数字を挽回すべく、値引きを拡大してでもハリアーを売りたい本音が販売店にはある。
ガイドラインを越える大幅値引きも
ハリアーの販売店ガイドライン(営業マンが個人の判断で提示できる値引き額)は、車両本体金額の3%程度だ。これを超える値引き額になると、店長などの上司の判断が必要となるため、営業マンはガイドラインの範囲内で商談を詰めていく努力をするはずだ。
実際に、ハリアーの見積もりを取ってみた。ハイブリッドG、オプション込みで総支払額は500万円の内容だ。
初めに訪れたネッツ店では、商談メモに値引きの表示は無かったが、担当した営業マンに値引きについて切り出すと、車両本体+オプションで35万円は堅いという。トヨペット店では、初めての商談メモから値引き額が明記され、車両本体からは3%、オプションと合計で35万を超える値引き額だった。
詳しくはいえないが、中には、大きくガイドラインを超え、車両本体から5%~6%引きは当たり前、オプション込みの合計では50万円~60万円の値引きとなる状況も見られた(値引き額は筆者の取材によるものですが、時期や地域により異なります。参考程度にお考え下さい)。
買い手にとって、安く購入できるのは嬉しい。売り手も販売数が伸びるのは良いことなのだが、この売り方には懸念点が見えてくる。
コメント
コメントの使い方