国内市場では、ステーションワゴンがどんどん減少し、現在販売されているステーションワゴンは数えるほどとなっている。過去には各メーカーが力を入れていたステーションワゴンだが、需要がかなり減っているようだ。
しかし、そんな状況にもかかわらず、トヨタの「カローラツーリング」は毎月5000台程度を販売し、販売台数ランキングで10~15位にランクインする好調さを見せている。
なぜカローラツーリングだけ、これほど人気なのか? トヨタの販売力はあるのものの、ほかのライバルと比較して何が違うのだろう?
文/渡辺陽一郎
写真/TOYOTA、編集部
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■選択肢が減少するなかで 頭ひとつ抜けたカローラツーリング
小型/普通車の販売ランキング(日本自動車販売協会連合会のデータ)を見ると、トヨタ「カローラ」が上位に入っている。2020年1~6月の累計登録台数は、トヨタ「ライズ」に続く2位だった。7月もトヨタ「ヤリス」と「ライズ」に続く3位になる。
ただしカローラの登録台数については、注釈を付ける必要がある。ヤリスやライズと違って、カローラには複数のボディタイプが含まれるからだ。
2019年に登場したカローラセダン&ツーリング(ワゴン)に加えて、2018年に発売されたカローラスポーツ(5ドアハッチバック)、さらに2012年に登場した先代型のカローラアクシオ(セダン)&フィールダー(ワゴン)も低価格の仕様が継続販売されている。
カローラアクシオ&フィールダーを継続販売するのは、カローラセダン/ツーリング/スポーツが3ナンバー車に拡大されたからだ。
カローラの開発者は「先代型の時点で、カローラセダンでは法人のお客様が約50%に達していた。ワゴンのフィールダーでも25%を占めた。法人では、社内の規則で5ナンバー車しか購入できない場合もあるため、5ナンバーサイズのアクシオ&フィールダーも低価格のグレードに限定して継続販売している」と述べた。
つまりカローラは、正確には「カローラシリーズ」になる。各車の販売内訳を見ると、最も多いのがカローラツーリングで、シリーズ全体の56%を占める。2位はカローラセダンの19%、3位はカローラスポーツの10%、4位は継続生産のカローラフィールダーで9%、5位はカローラアクシオの6%だ。継続生産型が全体の15%を占めるから、設計は古くても大切なラインナップになる。
それでも圧倒的に多いのは、過半数を占める「カローラツーリング」だ。このタイプに限ると、2020年には1カ月平均で5000~6000台が登録され、ミニバンのヴォクシーと同等の売れ行きになる。
ちなみに最近はワゴンの車種数が大幅に減った。かつてトヨタは、「クラウンワゴン」「マークIIクオリス&ブリット」「アベンシスワゴン」「カルディナ」「アルテッツァジータ」など豊富に用意していた。しかし現時点で選べるトヨタのワゴンは、「カローラツーリング」と「カローラフィールダー」、それ以外は強いて挙げれば「プリウスα」程度に限られる。
ほかのメーカーもワゴンを激減させ、今ではスバル「レヴォーグ」、マツダ「マツダ6」、ホンダ「シャトル」くらいしか残っていない。堅調に売られる設計が比較的新しいワゴンは、カローラツーリングとレヴォーグのみだ。そこでなぜカローラツーリングが好調に売れるのかを考えたい。
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