2020年10月22日、英ロールス・ロイスは高級セダン「ゴースト」を発表した。「初代から受け継いだのは“スピリット・オブ・エクスタシー”と“アンブレラ”のみ」「すべてをゼロから開発した」と高らかに謳ったゴースト。そのデザインの中核に据えられた哲学は「ポスト・オピュレンス(脱贅沢)」だという。
最新ロールスロイスを自動車評論家 飯田裕子氏が試乗、その進化を確かめた。
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※本稿は2020年12月のものです
文/飯田裕子、写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2021年1月26日号
■技術進化とミニマリズムを追求した珠玉の一台
“◯◯界のロールス”、なんて世の中の最高級品であることを例えるのにも用いられるほど高級で知られるロールス・ロイス。
最上級4ドア サルーンのファントムは5600万円~、近年、カリナンというSUVも登場したけれど、そちらは4000万円~。
まさに“ケタ”違いのモデルをラインナップしている。その価値を電卓ではじき出すのは不可能だが、小さなスイッチひとつとってもモダンな宝飾品のよう。贅と質を至るところで感じることができる。
今回ご紹介する新型ゴーストは先にご紹介したファントム(全長5770mm×全幅2020mm×全高1645mm)より少し小ぶりの全長5545mm×全幅2000mm×全高1570mmの4ドアサルーン。
価格も3590万円~とロールス・ロイスのなかでは親しみやすい?
しかしロールス・ロイス史上、最も技術的に進歩したモデルであり、「ポスト・オピュレンス(脱贅沢)」のデザイン哲学とミニマリズムを追求したという。
この新型が2009年に登場した初代ゴーストから受け継いだのはロールス・ロイスの象徴でもあるボンネット上のマスコット“スピリット・オブ・エクスタシー”とドアに格納される“アンブレラ”だけだとか。
スペースフレーム(骨格)もドアも金属製の上部構造は100%アルミ製。また「マジック・カーペット・ライド」と評される乗り心地もさらに進化。
“プラナー・サスペンション・システム”なる世界初採用のマスダンパーがウィッシュボーン上部に採用され、ショックアブソーバーで吸収しきれない振動を吸収。
これは上下だけでなく水平方向にも作用。路面をスキャンして事前に最適化できるという。
6.7L V12ツインターボエンジン(571ps)には8ATが組み合わされ、このトランスミッションとともに「サテライト・エディッド・トランスミッション」という同社が独自開発したGPSと地図データ、前後のレーダーやフロントカメラを駆使し路面や道路状況を読み制御。
カメラやレーダーなどは先進の運転支援システムの制御にも活用されている。そんな新型ゴーストの駆動方式は4WD、これに四輪操舵システム(4WS)も搭載される。
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