アウトランダーPHEVが新型へチェンジ ひと足早く雪道試乗

アウトランダーPHEVが新型へチェンジ ひと足早く雪道試乗

 三菱のアウトランダーPHEVのマイナーチェンジモデル(2019モデル)が3月6日からのジュネーブショーに出展するという情報が入ってきた。

 実はこれに先立ちジャーナリスト向けの雪上試乗会が北海道で行われた。排気量が2.4Lにアップされ、バッテリーやモーターの容量、出力も変更されるというビッグマイナーチェンジ。

 このマイナー チェンジモデルを国沢光宏氏はどう思ったか。先日のエクリプスクロス試乗記で触れられていた「曲がる4WD」への進化は見られたのか、徹底チェックです。

文:国沢光宏/写真:三菱自動車


■キーワードはパワーアップと4WD制御のアップデート

 今回のマイナーチェンジ(2019モデル)は、外観や内装の小変更ではなく、メカニズムにまで手が入れられたビッグマイナーチェンジともいえる内容。まずは今回のマイナーチェンジの要点を整理しておこう。

フロントの顔つきが少し変わった2019モデル
フロントの顔つきが少し変わった2019モデル

・エンジンが2.0Lから2.4Lに排気量アップ
・PHEVシステムの90%を改良しアップデート
・車両運動統合システム「S-AWC」に「SPORT」「SNOW」モードを追加
・駆動用バッテリー容量15%アップ、最高出力10%アップ
・ジェネレーター、リヤモーター出力を10%アップ

 以上がメカニズム面でのおもな変更点になる。特に注目すべきはエンジンの排気量アップだろう。排気量が増えたことで低回転でパワーを発生させることが可能になり、静音性への貢献が多いようだ。

 さらにモーター出力をアップさせたこと、S-AWCの制御変更でよりコントロール性を高めている。日本導入は今年の夏頃を予定している。

リアはスポイラーがつきスポーティな印象
リアはスポイラーがつきスポーティな印象

 よりコントローラブルで、静粛性も増したモデルチェンジということだが、乗り味はいったいどうなっているのか? 2019モデルのプロトタイプに試乗した国沢光宏氏のインプレッションをご覧いただこう。(ベストカーWeb編集部)

■国沢光宏が乗って感じた 現行モデルの魅力とMCモデルへの期待感

 2017年3月以前のアウトランダーPHEVは雪道だと超を2つ付けたいほど曲がらないクルマだった。

 そんな状況見て、かつてのランエボの開発担当者は「とにかく曲がるようにしたい!」と思ったそうな。結果、現在販売されているアウトランダーPHEVは昨年の小変更で前後の駆動力制御を大きく変え、曲がるクルマにした。

 今回初めて「曲がる対策」した現行モデルに雪道で乗ってみたら、なるほど私の超アンダー仕様のアウトランダーPHEV(編集部註:国沢氏は2016年にアウトランダーPHEVを購入)とずいぶん違う。

 私のクルマ、雪道でハンドル切りアクセル踏むとFFと全く同じ特性を持つ。考えて欲しい。FFの場合、前輪のグリップ力だけで曲がり、そこに駆動力も掛けている。

現行モデルはモーターの特性をうまく使って曲げる4WDになっている
現行モデルはモーターの特性をうまく使って曲げる4WDになっている

 後輪は何の仕事もしておらず。したがって少し無理をしただけで前輪の限界を超えてしまう。コーナリング性能を引き出しているときは、パワー掛けたらすぐ滑る。

 加速中にハンドル切っても曲がらない。現行モデルは往年のエボモデルように後輪の駆動力を積極的に使っている。

 聞けば、ガソリン車よりモーター車の方が駆動力のコントロールを出来る幅もレベルも高いーーということは初代プリウスに乗った時から知っていた。モーターの方がジンワリと駆動力を伝え、その気になればレスポンスだって圧倒的に優れているからだ。

 具体的に書くと、アクセル開けた場合、通常のガソリン車だと前輪と後輪に駆動力伝わるタイミングは同じ(後輪を遅らせることは可能)。

 前後に別個のモーター使うアウトランダーPHEVなら、アクセル開けた瞬間、前輪より早いタイミングで後輪モーターにパワー出させたり、アクセル戻した直後、前輪より早いタイミングで後輪へ回生制動掛けることだって簡単。

 普通のガソリン車よりレベルの高い前後の駆動力配分が出来る、ということです。加えてガソリン車よりジンワリとトルクを掛けていける。トラクションや旋回性能を稼ごうとしうたら、ガソリン車より有利なのだ。

 今回、圧雪路(一部凍結路)を走ってみたら、なるほど私のアンダー君より圧倒的に素直。ドライバーの意思通りに走ってくれる。何より楽しい。

 続いて改良された2019モデルを試す。大雑把な変更点は、エンジンが2リッターから静かで効率良く若干トルクフルな2.4リッターになり、前後のモーターパワーを少し向上させ、電池搭載量を増したというもの。

 3つとも現行モデルで大きな弱点になっていないが、持ち味をさらに伸ばす改良だと思う。アウトランダーPHEV乗りとしては気になる。

2019モデルの素性はクローズドコースではハッキリとわからないものの「いいクルマ」なのはすぐ感じられた
2019モデルの評価はクローズドコースでは事細かにはわからないものの「いいクルマ」なのはすぐ感じられた

 試乗してどうか? 結論から書くと、試乗会場のようなクローズドコースで全開に次ぐ全開で大笑いしながら乗っていたらまったくわかりません!エンジンも常時全開。

 通常の乗り方だとこんなに回らない。パワーだってクローズドコースは、タイム計らない限り体感的な差などわかり辛い。

 ただハッキリしてることは「やっぱりよいクルマですね!」。こんなに優れた性能持ってても売れ行き伸びない三菱自動車のブランド力に問題あると思う。(国沢光宏)

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