北米では2021年モデルが発売された『WRX』だが、ベストカーのスクープ情報では2021年夏に『WRX S4』が、遅れて『WRX STI』がフルモデルチェンジを果たすと予想している。
現在スバルが持っているリソースから考えると、次のフルモデルチェンジでどのように変わりそうかや、次期WRXに求められる立ち位置とは何かについて語っていきたい。
文/渡辺陽一郎
写真/SUBARU、編集部
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■すでに新車では手に入らないWRX STI & WRX S4
運転する楽しさと4名乗車の可能な実用性を併せ持つスポーツセダンは、大人のクルマ好きにとって魅力的な存在だ。ファミリーでも使えて、クーペとは違う落ち着いた雰囲気も備える。高性能をひけらかさない控え目な性格も、スポーツセダンの特徴だろう。
このようなスポーツセダンの中心的な存在がスバル『WRX』だ。6速MTを搭載する『WRX STI』は2019年に生産を終えており、販売店によると「CVT(無段変速AT)を組み合わせた『WRX S4』も、2021年1月下旬に受注を終了した。少数の在庫車は残るが、基本的にSTI、S4ともに今は新車では購入できない」という。
■次期型WRXは走りの骨格をレヴォーグと共通化へ
そこで気になるのが次期型の情報だ。従来型を販売している時は、買い控えに繋がるから次期型の情報を伝えたがらないが、生産を終了したなら話は変わる。買い控えの心配もないから教えてくれるだろう。
そこで販売店に尋ねると「今のところメーカーから次期型の情報は来ていない。車両の内容やフルモデルチェンジする時期も不明だ。WRXのお客様からは、次期型について質問を受けるが、返答できないのは申し訳ない」という。ベストカーの把握する情報では、S4は2021年夏、STIは2022年前半に登場する。
スバルは車種の数が少なく、共通化によってコストを抑える必要もある。WRXのために、専用のプラットフォームを用意することは考えにくい。そこで次期WRXは、現行インプレッサから採用が開始された新しいスバルグローバルプラットフォームを使い、2020年に発売されたワゴンの『レヴォーグ』と同様、フルインナーフレーム構造も採用する。構造用接着剤なども併用して、ボディ剛性を向上させながら、車両重量の増加を抑える。
実際にレヴォーグは、走行安定性と乗り心地のバランスが優れている。次期WRXにも同様の設計を施すことで、走行性能を進化させるだろう。
そしてWRXはセダンだから、後席とトランクスペースの間には、骨格と隔壁が設けられている。ワゴンのレヴォーグと違って、開口部の大きなリヤゲートは装着されない。レヴォーグ以上にボディ剛性を高めやすく、さまざまな条件下で、サスペンションを正確に作動させる。
つまり現時点で次期WRXの走行安定性、操舵感、乗り心地を知りたければ、レヴォーグSTIを試乗するといいだろう。車両の走行性能に関する考え方を含めて、次期WRXの運転感覚は、レヴォーグの延長線上にあるからだ。
走りの基本的な方向性は共通で、ボディや足まわりの剛性と熟成度を高めることで、走行性能をさらに引き上げたのが次期WRXになる。具体的には、ステアリングを操作した時の車両の正確な反応、峠道などでの曲がりやすさ、危険を避ける時の後輪の接地性などを向上させる。それがCVTを使う『WRX S4』の運転感覚だ。
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