次期型「WRX」開発中は間違いなし! スバル スポーツセダンの雄はどうなるか!?

■注目のパワーユニットは水平対向ながら2.4Lに拡大

 『WRX STI』は、従来型と同じく6速MT専用になる可能性が高い。モータースポーツのベース車両という位置付けもあるから、足まわりも強化される。S4のスポーツ指向をさらに強める。

 ちなみに従来型のエンジンは、水平対向4気筒2Lターボであった。WRX S4は設計が比較的新しいFA20型、STIは以前から採用されてきたEJ20型だ。開発者に2種類のエンジンを使い分ける理由を尋ねると「STIにはモータースポーツの使用も含めて、チューニングを行うお客様が多い。この時に新しいFA20型では、従来のチューニングパーツを使えなくなったり作業の仕方が変わってしまう。そこでSTIには、あえて従来型のEJ20型を搭載した」と説明された。

 そして次期型では、エンジンを全面的に刷新する。2020年11月に北米で発表された次期BRZの水平対向4気筒2.4Lをベースに、ターボを装着する。

 このエンジンはFA20型の排気量を拡大したFA24型とされ、S4はターボの装着により、最高出力を290ps、最大トルクは42kgm前後となりそうだ。現行型は300ps/40.8kgmだから性能の数値に大差はない。排気量の拡大で従来の性能を確保しながら、効率を向上させることで、燃費規制も視野に入れて燃料消費量を抑えることになりそうだ。

次期WRX S4は2.4Lターボ車となる模様。最高出力290ps最大トルク42kgm前後と現行型とほぼ同スペックながら、燃費を改善するなど環境性能を向上させる。トランスミッションはCVTだ
次期WRX S4は2.4Lターボ車となる模様。最高出力290ps最大トルク42kgm前後と現行型とほぼ同スペックながら、燃費を改善するなど環境性能を向上させる。トランスミッションはCVTだ

 一方、スポーツ指向の強いSTIは、FA24型をベースにしながらピストンやコンロッドなどを変更する。エンジン型式はFA24型でも、中身は大幅に異なる。従来のSTIも、高強度鋳造ピストン、強化エンジンマウント、大型インタークーラーなどの採用でチューニングのニーズに対応しており、次期型ではこの特徴をさらに強めるだろう。

 従って次期WRX STIは、動力性能の向上率が大きい。最高出力は400ps、最大トルクは50kgm前後に到達しそうだ。従来型の308ps/43.0kgmに比べると、大幅にパワーアップとなる。

次期WRX STI予想CG。エンジンは 名機EJ20搭載の現行型とは異なり、S4と共通のFA24型を搭載するが、中身はモータースポーツでの活躍を前提とした全くの別物。驚異的な動力性能を獲得する!
次期WRX STI予想CG。エンジンは 名機EJ20搭載の現行型とは異なり、S4と共通のFA24型を搭載するが、中身はモータースポーツでの活躍を前提とした全くの別物。驚異的な動力性能を獲得する!

 従来型もCVTを搭載するS4は一般ユーザー向け、6速MTのSTIはモータースポーツにも適した高性能モデルという位置付けだったが、動力性能の数値に大差はなかった。そこを次期型は、STIを400ps/50kgmまで高めることで、S4との違いを明確にする。

■ライバルは高額車ばかり! 高性能ながらお手頃価格のWRXへの期待

 ここまで性能が高まると、走行安定性も向上させねばならない。STIはS4をベースにしながら、ボディやサスペンションにも手を加えて走りのバランスを整える。

 レヴォーグSTIに採用されたのと同様の電子制御式ショックアブソーバーも装着する。走行状態に応じてショックアブソーバーの減衰力が最適に調節され、なおかつドライブモードの切り替えにより3段階の設定を選べる。これをWRX用にアレンジする。

 次期WRXのボディサイズと運転のしやすさは、従来型やレヴォーグに準じる。全長4650×全幅1805×全高1450mm前後だ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はレヴォーグと同じ2670mmで、従来型に比べると20mm長くなる。

スポーツ専用モデルにありがちな極端な幅広ボディとはならず、レヴォーグと同様に日本の道路事情にマッチしたボディサイズになりそうだ。この凝縮感のあるフォルムにグッとくる
スポーツ専用モデルにありがちな極端な幅広ボディとはならず、レヴォーグと同様に日本の道路事情にマッチしたボディサイズになりそうだ。この凝縮感のあるフォルムにグッとくる

 ホンダ『シビックタイプR』(すでに販売は終了している)のボディサイズは、4560×1875×1435mmで、ホイールベースは2700mmだ。似かよった大きさだが、WRXは全幅を抑えることで、混雑した街中や狭く曲がりくねった峠道での扱いやすさに配慮する。WRXの適度な大きさは、国内向けのワゴンとされるレヴォーグをベースに開発した効果でもあるだろう。

 このほかの日産『GT-R』、ホンダ『NSX』、トヨタ『スープラRZ』、レクサス『RC F』といった高性能モデルは、いずれもボディが全般的に大きく、価格は700~1000万円に達する。

 その点でWRXは、高性能なエンジンと4WDシステムを搭載しながら、ボディサイズや価格が適度で高性能車の中では購入しやすい。次期型はSTIでもアイサイトを選べるようになり、S4についてはアイサイトXも採用する。日本のユーザーに向けた配慮の厚い高性能車だ。

 価格はS4の場合、安全装備や運転支援機能を充実させた仕様が450万円位になる。STIは高性能化も著しく、前述の通りメカニズムも上級化するから500万円前後だ。それでも700~1000万円というほかの高性能車に比べれば割安になる。最も価格の近い高性能車は、シビックタイプRで価格は475万2000円だ。

 WRXは日本の使用環境に適した高性能車で、S4とSTIを用意することにより、モータースポーツまで含めた幅広いニーズに対応している。特にS4は走行安定性と併せて乗り心地にも配慮するから、日常的な移動にも使いやすい。

 そして高い動力性能に対応した優れた走行安定性により、WRXなら高速道路上でトラブルに見舞われた時でも、急ブレーキを作動させながらステアリング操作で危険を避ける操作を的確に行える。

 高性能なスポーツセダンであると同時に、進化したアイサイトとの相乗効果で、安全性の優れたクルマとしても注目される。高速道路を頻繁に使う場合、運転の楽しさよりも安全性の向上を目的に、WRXを購入する方法もあるだろう。

 WRXは発売が待ち遠しいクルマだ。スバルはせめて、今後の発売スケジュールを明らかにして欲しい。そうしないとユーザーは、欲しくても購入に向けた計画を立てられない。

ハイレベルな動力性能と安全性の高さも両立するモデルとなりそうだ。現在のところスバルから発売時期のアナウンスは無い。が、全国のスバルファンがその登場を待ちに待っている!
ハイレベルな動力性能と安全性の高さも両立するモデルとなりそうだ。現在のところスバルから発売時期のアナウンスは無い。が、全国のスバルファンがその登場を待ちに待っている!

【画像ギャラリー】伝統の走りは継承!スバルWRX 次期型の気になる全貌をチェック! 

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