青森県と秋田県を除く45都道府県では、例年5月末日(土日の場合は後にずれる)が自動車税の納付期限となっている。期限を過ぎると気になるのが、督促状や延滞金。督促状はいつ頃から届き始めて、延滞金はいつから付くのだろうか? また(昨年はあった)コロナ禍による特例措置はあるのか? 自宅に届いて戸棚にしまいっぱなしになっている納付書を戦々恐々と感じている皆さまにお知らせいたします。
文/加藤久美子 写真/加藤久美子、AdobeStock
【画像ギャラリー】 うっかり払い忘れてしまったら…督促状ってどんな書類? 13年超になるあの名車も
督促状はいつ届く?
自動車税種別割(以下、自動車税)の納付期限は2021年では本日5月31日(月曜日)となっている(昨年2020年は5月31日が日曜であったため、期限は6月1日だった)。
例年、納税通知書が届くのは、多くの都道府県では5月に入ってから。GW明けにポストに届くのが一般的だ。自動車税は毎年4月1日を賦課期日としており、4月1日時点でのクルマの所有者として登録されている住所に納付通知書が届けられる。前年度にクルマを売却したのに、納付通知書が届いた場合は新所有者が移転登録(いわゆる名義変更)をしていない可能性もあるので、即刻、新所有者かディーラーや中古車販売店、買い取り店などの担当者に連絡をすべし。
自動車税の納付は自動車オーナーにとっては年中行事のひとつだが、「あーまたこの季節か……」と少々ため息が出るオーナーも少なくないだろう。とくに、車齢13年を超えて、今年から「重課対象」となったクルマのオーナーは、税額が前年の15%増となり、憂鬱な気分も倍増する。
ところで、自動車税の納付期限は例年5月末となっているが、納付期限を過ぎても自動車税を払わずにおくとどんなことが起こるだろうか?
コロナによる特例措置(正式名称は『地方税における猶予制度』詳しくは後述)を利用して延納の手続きを行った場合を除くと、通常は納付期限から20日経過すると督促状が発送される。この「20日間」は、地方税法という法律によって定められている日数だ。
1000円以上の延滞金はいつから付く?
納付期限が5月末の場合、督促状は6月20日以降に届くことになる。
しかしこの督促状の発送時期は都道府県によって異なっており、愛知県や神奈川県など自動車の登録台数が多い自治体の中には処理に時間がかかるため、7月以降に発送されるところもある。神奈川県在住の筆者が、最寄りの県税事務所に聞いた時には「7月20日以降に発送される」という答えだった。
地方税法第177条19第2項において、『特別な事情』がある都道府県については20日以内ではなく、50日まで督促状の送付が延長できると定められているからだ。
本来ならば納付期限までに納めるべき自動車税だが、つい忘れてしまったり、持ち合わせがなかったりで、遅れてしまうこともあるだろう。そこで気になるのは延滞金である。
延滞金はいつから発生するのか? 実は納付期限の翌日(今年なら6月1日から)からすでに発生しているのだが、延滞金は1000円を超えるまでは納める必要がない。実際に1000円以上の延滞金が発生するのは納付期限から数か月後となる。
延滞金が付く時期は自動車税の税額によって変わってくる。つまり、排気量や購入時期(2019年9月30日以前か同10月1日以降か)、車齢13年超かどうかによって変わるのだ。
延滞金の金額を決める利率も年によっても微妙に変わり、都道府県や期間によっても異なる。
2021年東京都の場合は以下。わずかだが前年よりも利率が下がっている。
①納付期限の翌日から1か月以内 年2.5%(2020年は2.6%)
②1か月以上~12 月 31 日まで 年8.8% (同8.9%)
延滞金の計算式は?
自動車税の延滞金の計算式は以下となる
(延滞している金額 × 年利率)÷365 =1日当たりの延滞金
1日当たりの延滞金×納期限翌日から納付した日までの日数=納めるべき延滞金(1000円未満は納める必要なし)
上記①と②では年利が違うのでそれぞれ計算する。また、延滞金が1000円以上で 100 円未満の端数金額があるときは端数金額を切り捨てる。
延滞金のベースは自動車税の額なので、税額が高ければ高いほど1000円以上の延滞金が早く付き、低いほど遅くつくことになる。例えば、原付や二輪車など税額が低い場合は1年経っても1000円以上の延滞金が付くことはない。
最もはやく延滞金がつくのは、自家用乗用車として最大の排気量区分となる6000㏄超のクルマとなる。
税額は最高額(2019年9月30日以前に初回新規登録を受けた場合)の11万1000円だが、これが車齢13年超だと15%重課となり12万7000円(端数切捨て)。この場合、1000円の延滞金がつくのは7月25日~となる。
1500~2000㏄未満のクルマの税額は3万6000円(2019年10月1日以降に初回新規登録した場合の税額)。この場合延滞金1000円以上となるのは6月1日から136日目となる10月14日以降となる。
自動車税を未納のまま放置しておくと?
自動車税を納めないでおくと、督促状が届き始めて、早ければ7月終わり頃から延滞金が付き始める。この頃になると、自治体によっては督促の電話が自宅や携帯電話にかかり始め、ショートメール(SMS)に納税を求めるメッセージが届く場合もある。督促状に記載される文言も徐々に厳しくなり、【差押最終通告】が行われたあと、しばらくすると自動車本体や給料などの差し押さえが始まる。中にはタイヤをロックしてクルマの使用ができなくなるような措置をとる自治体もある。近所の目もあるし、ここまで来ればさすがに納めないわけにはいかないだろう。
さらに、継続車検の際には自動車税を納めたことを証明する「納税証明書」が必要(2015年4月~納税証明書の電子化が始まって納付情報をシステムで確認できるため条件を満たせば納税証明書の提出が省略できる)
となり、所有権を解除する場合、自動車を売却して名義変更をする場合などにも同様に納税証明書が必要だ。
自動車税を納めないと車検も通せないし、名義変更もできない。自動車税を放っておくと色々面倒なことになるので、遅くとも延滞金が付く前に納めておくのが賢明だ。
コメント
コメントの使い方