5月21日、マツダのアメリカ法人はコンパクトSUVのCX-3とラージセダンのマツダ6の2台を現在在庫として残っている2021年モデルをもって、ラインナップから落とすと発表。
マツダ6に関してはFRプラットホーム+直列6気筒エンジンを搭載した、ラージと呼ばれる商品群が後継車として控えていることもあり一時的なものだろう。
しかし、CX-3は日本を含め世界的にやや苦戦しているという背景もあり、国内での存続にも注目が集まるが、当サイトの取材に対して、マツダはCX-3の日本市場での今後について回答。CX-3は存続することが明らかとなった。
本稿では、同車の現状も交えながら今後を考えてみたい。
文/永田恵一
写真/編集部、MAZDA
CG/ベストカー編集部
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CX-3は「販売継続する計画です」
CX-3がアメリカでラインナップ落ちするのを見ると「日本でも?」という心配もよぎるが、マツダ広報部に聞くと「MAZDA6、CX-3は今後も商品育成を行い、日本で販売継続する計画です」とのことで、当面日本での販売は続くと思っていいだろう。
また、何店かのマツダディーラーに聞いたCX-3についてコメントをまとめると、「CX-3は2020年5月にリーズナブルな1.5Lガソリンが加わって以来、1.5L車が中心になったことと同時に、販売もだいぶ回復したことに加え(販売台数に関しては後述)、コンパクトSUVというラインナップに欲しいジャンルでもあるので継続してほしい」という声が多かった。
なお次期モデルについての情報は現時点では得られなかった。
CX-3と難しい立ち位置と復活の気配
ここで現行CX-3が歩んだ軌跡を振り返ってみると、CX-3は現行マツダ2(当時はデミオ)をベースとした、コンパクトSUVというよりハッチバック寄りのクロスオーバーとして2015年2月に登場。
未だに古さを感じない流麗なエクステリアを持つなど、マツダらしい個性的なモデルなだけにキャビンやラゲッジスペースが広いクルマではなく、当初は1.5Lディーゼルターボエンジンのみの設定だった点や、意外にCX-5との差額が少ないなどリーズナブルではなかったこともあり、「存在は歓迎すべきだけど、売りやすいクルマでなさそう」と感じたことを思い出す。
実際、販売台数は登場時3000台(年間3万6000台換算)と発表された月間販売目標台数に対し、2015年/3万20台、2016年/1万9872台と伸び悩んだ。
それでもマツダ車らしくほぼ毎年何らかの改良が行われ、代表的なところでは2017年6月の一部改良では2Lガソリンの追加、2018年5月の大幅改良では1.5Lディーゼルターボが1.8Lに排気量アップされた。
しかし、販売台数を見ると2017年/1万3108台、2018年/1万7036台、2019年/9888台と、ライバル車の増加やマツダ社内で1クラス上のCX-30が登場したこともあり、存在感が薄れていたのは否めなかった。
そうしたなか、2020年5月の商品改良で運転支援システムの装着に制限はあるものの、189万2000円からというリーズナブルな価格に抑えられ、現在販売の中心となっている1.5Lガソリン車が加わった。
CX-3の1.5Lガソリン車は、乗ると全体的に強い印象こそないものの、よくまとまっており、「この価格であればCX-3の大きな魅力である流麗なスタイルを理由に候補に挙げる人も増えそうなモデル」と感じた。
また、価格も含めCX-30との差別化が明確になったためもあるのか、販売台数も1.5Lガソリン追加後は登場からの時間を考えれば悪くない月1000台を何度か超えるなど回復しており、ディーラーの「継続してほしい」という声もよく分かる。それだけに「1.5Lガソリンの追加がもっと早ければ」と思う人も少なくないだろう。
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