1980年代から1990年代にかけて販売された日本車のスポーツカーは、JDM(Japanese Domestic Market)と呼ばれ、北米を中心にロシアや中国、東南アジア、中東、欧州と世界的な人気になっているという。その人気とともに大きな問題となっているのがそうしたJDMをターゲットにした盗難である。
つい先日も目の前で愛車のRX-7が盗難される様子を動画で撮影していた、RX-7の盗難事件が記憶に新しい。
そこで本企画では、バラバラにされアメリカでパーツとして販売されている実態など、自動車盗難の実態を徹底調査! コロナ禍で国産旧車盗難は増えたのか? 盗まれないためにはどうすればいいのか、レポートしていこう。
文/加藤久美子
写真/加藤久美子、RX-7(FD3S型)オーナー
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■「JDM」として日本製旧車スポーツカーが世界的人気に
「JDM」(Japanese Domestic Market)とは主に1980~1990年代に発売された日本製の右ハンドルスポーツカーのことで、スカイラインGT-R、ランエボ、シビックタイプR、70/80スープラ、インプレッサなどの車種を指す。
アメリカには輸入されなかった歴代GT-R(R35を除く)はもちろん、アメリカ仕様として正規輸入されたモデルであっても本物のJDMとして右ハンドル車が高い価値を生んでいるのだ。北米を中心に、ロシアや中国、東南アジア、中東、欧州…と今やJDM人気は世界的なものになっている。
JDMについて改めて説明しておこう。
アメリカにおいてJDMというと「25年ルール」でアメリカへの輸入、一般ユーザーへの販売、公道を走る一般車両として登録することなどが「解禁」となったクルマのことを指す。
アメリカには日本の保安基準に相当するFMVSSという保安基準があり、展示用や自動車メーカーの研究用など一部の用途を除いて、右ハンドル車の輸入は禁止されているが製造(年月)から25年経過すればそれも解禁となる。
日本からの輸入車だけではなく世界各国のクルマが対象だ。25年ルールとともに、2021年で解禁となる排ガスに関するEPAという規則も含まれる。
この25年ルールで解禁になった日本車のことを総称して「JDM」と呼ぶが、それ以外に本来のJDM(日本国内市場向け)の意味もある。
・右ハンドル
・オレンジ色のウィンカー
・サイドバイザー
・水中花シフトノブ
・小径ハンドル
・深リムホイール
・赤い斜線入りの仮ナンバー
・漢字入りナンバープレート
などなど、日本独自だったり、日本発祥だったりする装備や仕様などもJDMと呼ばれるのである。JDMの人気に火が付いたのは公開延期が続いて8月6日にやっと最新作(9作目)が公開される映画「ワイルド・スピード」(原題:Fast and Furious)シリーズによるところが大きい。
ワイルド・スピードの1~4作目は特に多くの日本車が登場しており、映画の人気とともに日本製スポーツカーのカッコよさを(日本人を含めて)世界中に知らしめることになった。
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