脱炭素社会の構築が国際的な目標となり、がぜん注目されるのがバッテリーのみで走行するBEV。
しかし2021年冬に投入予定の三菱 新型アウトランダーはPHEVとして登場する予定だ。三菱が今プラグインハイブリッドを投入する理由とは!?
文/佐藤篤司、写真/MITSUBISHI、ベストカー編集部
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■脱炭素社会構築で注目!! バッテリーのみで走行するBEV
もはや小学生だって知っているSDGs(持続可能な開発目標)。地域の別なく地球規模で、この17に及ぶ目標を達成に向かって進まなければ、明るい未来はないというわけであり、それが広く知れ渡ることになんの異論もない。
さらに言えば17の目標の内、少なくとも13が直接的に環境に関連する項目であり、残りの4つも間接的に環境に関連するとなれば、差し迫った環境問題、脱炭素社会の構築には不可欠な目標といえる。
そこで注目度が以前にも増して上昇しているのがバッテリーだけで走行するEV(以下BEV)の存在。
欧州勢の急激なるEVシフトや、日本においても昨年末の菅総理や、小池百合子都知事といった政治家たちの口から「2030年代後半のガソリン車禁止を検討中」という方針を聞くと、いよいよ来たかという気持ちである。
断っておくが日本政府の方針には「ハイブリッドは許容」するという断りは付くが、それでもBEV化一直線の風潮は強まっている。
■BEVが注目される中、三菱は……
そんな状況下で三菱自動車(以下三菱)が、新型アウトランダーPHEVをこの冬、日本で、さらには22年の後半、米国市場で投入すると発表した。旧型が登場以来8年ぶりの新型登場である。
ところが一部から「BEVではないのか?」という声が聞こえてきた。これはある意味当然かもしれない。昨年9月に三菱は、10年前に世界初の量産型BEVとして生産してきた『i-MiEV(アイミーブ)』の生産を20年度中に終了するというニュースが報じられたからだ。
これまで日産とともに量産BEVのパイオニア的存在であり続けてきたのに、なぜいまさらPHEVなのか? という事かもしれない。
だが少し冷静になって、現在のあまりに性急なBEV化を俯瞰して欲しい。確かにBEVは今後の車社会が目指すひとつの理想である。一方でBEVが抱える諸問題も数多くある。
何よりもPHEVやHVは今もってエミッションにおいて優れた性能を見せている。たとえばエクリプスクロスPHEVは18.6km/L(JC08モード)、現行のアウトランダーは16.4km/L(WLTCモード)という、SUVとして十分に評価できるエミッションを実現している。
まだ詳細がはっきりしていないが当然のように新型のアウトランダーは、モーター出力の向上やバッテリー容量の増大によって、走行性能ばかりか環境性能まで進化させてくる。
さらに実用面で見ても新開発プラットフォームとコンポーネントの一体化、さらにはレイアウトを見直して3列シートの7名乗りを可能にする、としている。一見、無関係のように見える利便性の向上も立派な環境性能の進化であり、PHEVをより魅力的に見せてくれる要素である。
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