トヨタのスポーツカーブランドいえばGR。確実にその地位を築きつつあるが、今後の展開はどうなっているのだろうか?
近々では、10月にはUSAトヨタがGRカローラのティザー写真を公開。11月29日にはカローラクロスGRスポーツがタイで発表され、さらに12月2日、欧州でヤリスGR SPORTが登場した。
日本より先に発表された3モデルはどんなモデルなのか、いつ発売されるのか、最新情報をお伝えしていこう。
文/柳川洋
写真/トヨタ
■トヨタにおけるGRとは?
GRとは、グローバルにオンロード・オフロード問わずモータースポーツ活動を行うTOYOTA GAZOO Racing が、極限的なレース環境で戦うことで培った技術と情熱をそのままクルマづくりに反映するブランド、とトヨタは定義している。それを代表するクルマがGRヤリスだ。
市販車をまず作り、そこからモータースポーツで勝てるクルマを作り出す、というのが通常の流れだが、GRヤリスは正反対。まず「モータースポーツで勝てるクルマ」をプロのドライバーと一緒に初めに開発し、それを公道を走れる市販車にする、という真逆のアプローチをとっている。
「量産車を効率重視で作るトヨタ」というイメージが強いが、GRヤリスはGRファクトリーというトヨタ元町工場のGR専用ラインで、トヨタ全社から集められた熟練工の誇る匠の技を活かしながら、あえて組立工程の多くを自動化せず、一台一台ハンドメイドに近い形で作られる。
エンジンは小型軽量化・高出力化の両立のため、軽量な中空組み立て型のカムシャフトを採用。ピストン・コンロッドの質量のわずかな差を計測してばらつきを最小にすることで、高回転までバランスよく吹け上がるエンジンを作り、匠と言われる熟練工が一台一台組み上げている。
また通常のクルマづくりと異なり、エンジンと足回りを全て組み付けた後、その上にボディを搭載するデッキング方式を採用。
それぞれの個体に合わせて許容される範囲内でのごくわずかな寸法の違いを最新鋭の機器で3次元計測し、部品が集合体になった時の誤差が最小限になるような組み合わせを作り、その他の部品の大半が装着されて完成車とほぼ同じ重量となってから乗員の体重も考慮したうえで、足回りやステアリング周りなどの操縦安定性に関わる部品を超微調整して組み付ける、というこだわりぶり。
そうすることで、ラインオフした時点でアライメント調整などが最小限で済む、バランスの取れたGRヤリスが完成するという。
検査工程では市販車では考えられない厳密さでレーシングカー並みの設定値に達するまでアライメント調整が行われ、車軸にずれがないかホイールセンターを全車測定。トヨタ唯一の自社生産スポーツカーとして、ここまでこだわりをもってGRヤリスは作られている。
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