マツダのフラッグシップカー、アテンザが大幅な改良、マイナーチェンジを果たし、販売を開始した(2018年5月24日発表、6月21日発売)。
2012年11月の3代目(現行型)登場からザッと6年。通常であればそろそろフルモデルチェンジの噂が聞こえてきてもおかしくないこの時期でのマイナーチェンジ。もはやマツダおなじみとなった年次改良(ただし、昨年と一昨年のマイナーチェンジは8月に行われた)とはいえ、そこにはなにか隠された意図があるのだろうか?
自動車ジャーナリスト 鈴木直也氏に試乗を依頼、その背景も含めて解説していただいた。なお価格はATの20Sが282万9600円、MTではXD(2WD)の329万4000円からとなる。
今回のアテンザ モデルチェンジのポイント
■2.2Lディーゼルは性能向上で中高回転域での加速力アップを実感
■内装の上質感がアップ
■NVH性能が向上し快適に
■2.5Lガソリンに気筒休止機構を採用
■フロントマスクをCX‐5と同じデザインに
文:鈴木直也 写真:西尾タクト
初出:『ベストカー』2018年8月26日号
マイナーチェンジの意味
今回のアテンザのマイチェンはデビューから6年目にして4回目。普通ならモデル末期なのに、過去最大の大幅改良を施してきた。
セダン市場は日本のみならず世界的に低調で、この時点でのアテンザ大幅改良はマツダにとって“費用対効果”だけを見ると微妙なのだが、マツダが将来を託すプレミアムFR(フロントエンジン・リアドライブ(駆動))への橋渡しとして、アテンザは大事なフラッグシップ。何がなんでも「マツダのセダンはクォリティが高いよね」という評価をキープしなければならないのだ。
輸入プレミアムと堂々渡り合えるインテリア
実車に接してまず気づくのは、インテリアの上質感がますます高まっていることだ。ふんだんにステッチを効かせたインパネ周りの造形や仕上がり、新素材の“ウルトラスエードヌー”を使ったドアトリム、そして高弾性ウレタンを使ったしっとり包み込まれるようなシートなどなど……。
マツダのポリシーとして外装デザインの変化は大きくないが、内装の仕立てのよさは同クラスの輸入プレミアムにまったく遜色ない出来栄えといっていい。
15ps/3.1kgm引き上げられた加速力
走りっぷりについては、エンジンがディーゼル/ガソリンともにCX-8と同スペックに進化したほか、足回りのセッティングに“スカイアクティブ・ビークルアーキテクチャ”という新しいコンセプトが導入されたのが注目点だ。
エンジンについては、やはりディーゼルの圧倒的なトルク感がさらに力強くなっている(最大トルク42.8kgm → 45.9kgm)のが快感。もちろん、気筒休止を追加した2.5Lガソリンもそれなりに悪くはないのだけれど、常にディーゼルと比較されるのはお気の毒。プレミアムセダンとしてのアテンザのキャラクターは、今後もこのディーゼルが牽引してゆくはずだし、こういうトンがったパワートレーンなくしてプレミアム車のブランディングはあり得ない。
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