いまの人たちはクルマに何年乗る? 自工会の「乗用車市場動向調査」徹底分析

いまの人たちはクルマに何年乗る? 自工会の「乗用車市場動向調査」徹底分析

 日本自動車工業会(自工会・JAMA)が1963年度から継続的に実施している「乗用車市場動向調査」。その2021年度の結果が4月20日に発表された。

 平均保有年数や次に購入予定のパワートレーン、負担に感じる維持費…などなど、クルマユーザーの「今」がわかるこの調査、今回の結果の主だったところを渡辺陽一郎氏が分析!!

※本稿は2022年5月のものです
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部 ほか
初出/ベストカー2022年6月10日号

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■延びていく保有期間と使用年数

 乗用車ユーザーの動向調査で最も注目されるのは、前保有車の保有期間(表1)だ。

 新車が2021年の1.7倍売られていた1990年は、クルマを買ったら5年以下で乗り換えるユーザーが多かった。

表1)前保有車の保有期間
表1)前保有車の保有期間

 それが2021年は5年以下が30%に減り、5〜10年の保有は46%に達する。10年を超えるユーザーも24%(新車で買った場合は31%)と多い。平均すれば7.1年だ。

 ちなみに乗用車の平均使用年数(生産から廃車までの期間)は、1990年は9年少々だったが、2021年は14年近くまで延びた。1台のクルマを長く使うユーザーが増えている。

 クルマの価格は、安全装備や運転支援機能の充実で、15年前の1.2〜1.4倍に高まった。それなのに平均所得は1990年代の後半よりも少ない。クルマを購入しにくい条件が重なり、保有期間と使用年数が延びているのだ。

前保有車どころか現保有車が23歳を迎える本企画担当。こういったデータを集める際には、少し申し訳ない気持ちになる
前保有車どころか現保有車が23歳を迎える本企画担当。こういったデータを集める際には、少し申し訳ない気持ちになる

■ボディサイズを変えずにハイブリッドへ乗り換え

 今後、買い替え予定の車種のボディサイズを尋ねると(表2)「今のクルマと同じ」が67%に達した。

 その一方で「今のクルマよりも小さい」も20%で、以前よりも増えている。サイズアップを望むユーザーは13%に留まる。

表2)買い替え予定車の車体サイズ
表2)買い替え予定車の車体サイズ

 小さなクルマに乗り換える傾向は、安全装備の充実で価格が高まった約10年前から顕著になり、今では新車販売される小型/普通乗用車の40%をコンパクトカーが占める。

 最近はダウンサイジングが収まる傾向にあるが、それでも20%は小さな車種への乗り換えを希望している。

 買い替え予定の車種が搭載するパワーユニット(表3)は、ガソリンエンジンが48%と、比率的には依然として一番高い。

 それでも2015年の63%を大きく下まわり、ハイブリッドは2015年の31%から37%に増えた。

表3)買い替え予定車のエンジン(動力)タイプ
表3)買い替え予定車のエンジン(動力)タイプ

 また電気自動車は2019年は3%だったが、2021年は9%に急増してディーゼルの3%を上まわる。

 電気自動車は増えたのに、プラグインハイブリッドは2%で以前と同等だ。電気自動車は少数派ながら話題性が高く、新型車も増え始めて人気も上昇しているのだ。

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