4輪車の完全電動化に舵を切ったホンダ。2022年10月6日には北米で、その計画の幕開けとなる電動SUV「プロローグ」を公開し、その5日後には北米でのEV工場建設も発表した。
とはいえ、道のりはまだまだ長い。ホンダは2030年までに30種類のEVを発表し、世界で200万台以上生産するとアナウンスしているからだ。
そこで電動化のスタート地点に立ったホンダの戦略を、電動化や次世代モビリティに詳しい桃田健史氏にうかがってみた!
文/桃田健史、写真/ホンダ
■GMの電動プラットフォーム「アルティウム」を使うホンダ プロローグ
ホンダは事業全体の稼ぎ頭であるアメリカ市場で、SUV型EVの「プロローグ」を正式発表した。プロローグの車格は、ライトトラック(SUVとピックアップトラック)として、「HR-V」、「CR-V」、「パスポート」の上位にくるポジショニング。2024年に北米で発売する。
プロローグの存在については、ホンダの三部敏宏社長が2022年4月12日に発表した「四輪電動ビジネスの取り組みについて」の中で公表しており、今回はメディア関係者やユーザーにとって別段、サプライズな発表というわけではない。
ではここで、ホンダのEV戦略の全体像を再確認してみよう。
台数としては2030年までにグローバルで30機種のEVを展開し、EVの年間生産台数は200万台以上を計画している。そのために2030年代前半までの研究開発費とする約8兆円のうち約5兆円を電動化とソフトウエア領域に充てるとしている。
仕向け別に見ると、北米ではGMと中大型クラスEVを共同開発して導入する。
これが、今回発表されたプロローグであり、またその兄弟車とあるアキュラ車両については、2022年8月にカリフォルニア州モントレーで開催された「モントレー・カー・ウィーク2022」で公開した「プレシジョンEVコンセプト」だ。同モデルは「ZDX」として量産される。
今回の発表でプロローグのモーター出力、満充電での航続距離など、パワートレインの詳細は明らかにされなかったが、GM(ゼネラルモーターズ)が開発したEVプラットフォーム「アルティウム」を採用し、四輪駆動車の設定もあるとしている。
これら2モデルが、ホンダEV戦略の、まさにプロローグ(序章)だといえるだろう。
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