2022年5月27日に発売したホンダの主軸ミニバンである「新型ステップワゴン」の販売台数を見ると、苦戦を強いられているようにも見える。2022年1月13日発売の新型ノア/ヴォクシーに大きく引き離されているだけでなく、この11月28日にフルモデルチェンジする予定のモデル末期の現行セレナにも登録台数で負けているのである。
しかし、昨今のコロナウィルスの影響拡大や半導体不足による生産の遅れもあり、登録台数だけで車種の人気度を測るのはやや無理があるようだ。新型ステップワゴンの販売台数の落ち込みの理由はどこにあるのか? そこには車種の人気度を超えた苦悩があった。
文/遠藤徹
写真/ベストカーweb編集部、トヨタ、ホンダ、日産
■ステップワゴンは本当に苦戦しているのか? ディーラー営業マンの見解
直近の2022年10月の新車販売台数ではヴォクシー7201台、ノア7160台、セレナ4446台に対してステップワゴンは3075台にとどまっている。
11月中旬現在の納期はノア/ヴォクシーハイブリッド1年3ヵ月、同ガソリンNA車12ヵ月に対してステップワゴンはハイブリッドが10ヵ月、1.5リッターが8ヵ月とノア/ヴォクシーよりも明らかに早い。
ただこの販売台数の多寡だけでは車種の人気度を測るのは難しいのも現状だ。下記の図を見てもらえば分かるように、ステップワゴンのみならずノア/ヴォクシーなども販売台数にムラがあることが分かる。
これはコロナウィルスの影響拡大や半導体不足、不安定な海外情勢による部品供給の遅れなど複合的な影響もあり、車両生産のペースなどを調整せざるを得ないからだ。
新型ステップワゴンの現状分析を首都圏にあるホンダカーズ店の営業マンに尋ねると「新型ステップワゴンはオデッセイが生産中止になり、その穴埋めをするためにサイズアップ&ハイクオリティな仕立てをした。
これによって上級シフトしたのはよいが、ノア/ヴォクシーとアルファードの中間に位置付けられて、中途半端なコンセプトになり、これを好まないユーザーが離れている状況はある。
オデッセイのユーザーは新型ステップワゴンで新たに設定したスパーダプレミアムラインへの代替えを目指しているが、実際はこちらへの購入者はほとんどいない。
また前モデルでウリのひとつだった、バックドアの一部が横開きとなるワクワクゲートが廃止になり、利便性が損なわれた」などを挙げている。
このほか、シリーズ全体の80%以上を占めるハイブリッド車についてはノア/ヴォクシーが2WDのほかE-Four(電気式4輪駆動方式)を設定しているのに対してステップワゴンは2WDのみ。降雪地帯、東北、北海道地域では不利となっているのも要因として挙げられる。