ちまたではマツダ6(旧称アテンザ)の20周年が話題だが、昭和世代ならその祖先となる名車「カペラ」を覚えているはず。特に4代目は大ヒットし、レガシィに先駆けてワゴンブームも巻き起こした。その栄光の日々を振り返ってみよう!
文/片岡英明、写真/マツダ、ベストカーWeb編集部
■ロータリーエンジンも搭載したマツダの基幹モデル
2002年4月、マツダは「Zoom-Zoom」のブランドメッセージを発信した。「Zoom-Zoom」は、自動車が走っているときに発する音のことだ。マツダは走る歓びと感動、そして地球にやさしい安全なクルマを提供したいと考え、持続可能(サスティナブル)な未来の実現に向けて動き出した。
その第一弾として同年5月に発売したのが「アテンザ(現マツダ6)」だ。2022年に20年の節目を迎えたアテンザは20周年記念車を発売したのだが、このアテンザのルーツと呼べるスポーティセダンが、「カペラ」だ。
カペラが誕生したのは、マツダが東洋工業を名乗っていた1971年10月である。世界で初めて2ローターのロータリーエンジンを実用化したマツダは、70年代をロータリーエンジンの時代だと意気込み、積極的にロータリーエンジン搭載車を送り出した。
コスモスポーツ、ファミリアロータリークーペ、そしてFF方式のルーチェロータリークーペに続くロータリー第4弾として投入されたのがミドルサイズのカペラだ。最初は12A型を積むロータリーエンジン専用モデルだった。大がかりなマイナーチェンジを行いながら1978年まで生き延びている。
2代目(CB型)は1978年10月に登場した。時代に先駆けて空力性能に優れたエアロダイナミックボディを採用し、レシプロエンジン搭載車だけに絞り込んだ。
ちょっと地味だったカペラが脚光を浴びるのは、1982年秋に登場した3代目のときである。前輪駆動のFF方式に転換し、「マグナム」のニックネームを持つ新設計の直列4気筒SOHCエンジンを搭載した。
サスペンションは4輪ともストラットの独立懸架で、ステアリング形式は切れ味鋭いラック&ピニオン式だ。また、ガソリンターボや新世代ディーゼルも投入している。
3代目カペラはCMのキャラクターに人気絶頂だったアラン・ドロンを起用し、話題を集めた。卓越したメカニズムに加え、デザインもよかったので、1982-1983日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いている。
デビュー時は4ドアセダンと2ドアクーペの2ボディだったが、1985年春にはクーペ感覚の5ドアハッチバックを追加して選択の幅を増やした。これはオートラマ店(当時存在したマツダ系列のフォード専売ディーラー)に投入しているフォード・テルスターの兄弟車だ。
主力のファミリアに続いてカペラを刷新したマツダは、息を吹き返した。そして三菱、ホンダと業界3位の座をかけて熾烈な販売合戦を繰り広げている。
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