連載第5回目となる今回の日産ヘリテージコレクションの名車紹介では、日本ではキワモノ的な扱いだったが、メイン市場である北米では大人気を誇った「NXクーペ」を取り上げる。
文/大音安弘、写真/池之平昌信、日産
【画像ギャラリー】日産NXクーペは1990年代の個性派モデル! セクレタリーカーとして北米では大成功したが……(21枚)画像ギャラリー■RZ-1後継として誕生したNXクーペ
スポーツカーのようなカッコよさが愛された時代、多くのスペシャルティカーを誕生した。そのひとつに、北米を中心に展開された働く女性のための小さくお洒落なクーペの「セレクタリーカー」がある。小さなクルマを得意とする日本メーカーが、欧州のメーカーと激しい戦いを見せたジャンルのひとつでもある。
NXクーペは、1990年(平成2年)1月11日、基本構造を共有する7代目サニーシリーズ(B13)のバリエーションのひとつとして登場。日本では、先代6代目サニーのクーペ「サニーRZ-1」の後継として位置付けられていた
しかし、メイン市場となる北米では、日本でも販売された変わり種の2ドアスペシャルティカーであった2代目エクサ(現地名パルサーエクサ)の後継モデルに位置づけられている。このため、海外仕様では「NX」を名乗った。
■NDIが手がけた未来的デザインが特徴
未来的かつスタイリッシュなエクステリアデザインは、カリフォルニアのデザインセンター「日産デザインインターナショナル(NDI)」によるもの。現在のニッサンデザインアメリカである。ターゲットユーザーを熟知していることを強みに、軽快で気軽に乗れるセレクタリーカーに仕上げていた。
そして、カリフォルニアの気候にも最適な太陽光や風の変化を楽しめるTバールーフも与えていた。この点は、エクサの後継を意識したのもあったのだろう。特にユニークなのが、奥まった楕円形のヘッドライトを備えたグリルレスのフロントマスクだ。
RZ-1とは異なり、サニー一家であることよりも、よりセレクタリーカーとして魅力的な存在を目指したといえる。ちなみに、サニーセダンは日本の日産テクニカルセンターの作品である。
内装はサニーとダッシュボードは共通デザインとしているが、2ドアクーぺのため、ドアトリムや後席など専用部品も多数採用する。そのひとつで象徴的なのが、スペシャルティカーで人気のアイテムであったデジタルメーターの標準化だ。
また、ドア開口部には傘の収納スペースを装備しており、雨天時でも車内を濡らさない工夫が施されていた。もちろん、この傘には水抜き用のドレンが装備されている。後席とラゲッジスペースはスタイルを優先し、小ぶりとなっていた。
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