内燃機関から電力にシフトしていく世の中。マツダの至宝ロータリーエンジンは、誰もが消滅の危機を予感していただろう。しかし、マツダは発電用としてロータリーエンジンを復活させた! その新システムがMX-30をガラリと生まれ変わらせる!!
※本稿は2023年12月のものです
文/清水草一、写真/MAZDA、撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2024年1月10日号
■ロータリーに神が宿る!?
「ロータリーが発電機の動力源として帰ってくる!」と聞いた時、多くのクルマ好きが「そんなの意味ないじゃん!」と思ったはずだ。私なんぞ、「これは特攻か?」と思ったほどだ。
ところが、実際に830ccの1ローターロータリーが搭載されたMX-30ロータリーEVが目の前にあると、これまでのMX-30とは別物に感じた。パッと見は相変わらずなのに、神が宿って見えた。神は“ムダ”に宿るのか!?
■PHEVという安心感と気持ちのいい走り
バッテリー容量はEVモデルのちょうど半分(17.8kWh)で、EVモードの航続距離は107kmとされている。メーター上は80km強の表示だったが順当なところだろう。
まずは「ノーマル」モードで走り出す。この状態では、バッテリー残量が45%まで減らないと、ロータリーエンジンはまずかからない。
が、ボディやシャシーが凄くイイ! そのあたりはEVモデルと同じはずだし、むしろ130kg重量が増加しているのに、なぜか猛烈に走りがイイ。
EVモデルの時は、航続距離の短さばっかり気になって、ハンドリングなど枝葉末節だった。でもロータリーEVなら、このまま700kmくらい走り続けられるはず。そう思うと、操縦性のよさが輝いてきたってわけだ。
エレクトリックGベクタリングコントロールプラスのおかげもあって、自由自在にコーナリング姿勢を作れる。左パドルを1回引いて1段階回生を強くしておくと、なおいいぜ!
いよいよチャージモードに変更し、ロータリーに火を入れる。
最初は、かかってるのか止まってんのかすらわからなかった。ノートe-POWERの3気筒との差は歴然だ。
徐々にロータリーのかすかな息遣いが判別できるようになったが、ほとんどモーターと一体化しているかのようだ。さすが「モーターのような回転フィール」と言われただけのことはある。
ロータリーは、効率のいい2300rpmから4500rpmを維持して回転するという。そのかすかなサウンドはかなりの低音。
2ローターと比べると周波数が半分! って感じで、回して気持ちいいわけではない。むしろ止まっている時のほうが、より静かで若干快適だ。
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