トヨタ新型RAV4 VS ジャガーEペイス【日英人気SUVを一刀両断】

トヨタ新型RAV4 VS ジャガーEペイス【日英人気SUVを一刀両断】

 国内で久しぶりの復活となり受注も絶好調のトヨタ 新型RAV4。「ミッドサイズSUV」として見た時、果たしてどのような評価となるのか!? 元日産GT-R開発者、水野和敏氏が、都会派オシャレSUVの代表格ジャガーEペイスと比較した。

【画像ギャラリー】雨の中を走り抜けるトヨタRAV4をギャラリーで!!!

※本稿は2019年8月のものです
文:水野和敏/写真:池之平昌信
初出:『ベストカー』 2019年9月26日号


■トヨタ新型RAV4 VS ジャガーEペイスミッドサイズSUV対決の行方は

 こんにちは水野和敏です。ちょっと長い梅雨が明けたと思ったらいきなり猛暑の日々。残暑は続くので皆さん、体調管理には気をつけてください。

 さて今回は人気のSUVとして注目しているトヨタRAV4を徹底的に評価していきたいと思います。

 その相手に選んだのは、日産エクストレイルに代表される「クロカン風SUV」に大幅なコンセプト変更してきた新型RAV4とは真逆の都会派ファッショナブルコンセプトのミッドサイズSUVのジャガーEペイス。

 全長はRAV4のほうが200mmほど長く、ボディも角張ったデザインということもあり、ずいぶんと大きく見えますが、ホイールベースはほとんど同じ。全幅はジャガーのほうがちょっと大きいです。

 RAV4は一番高価なハイブリッドのGグレードということで、価格は381万7800円。今日の試乗車はオプションがいろいろと装着されていて420万円ほどとなっています。あと50万円足したらベンツGLAが買えてしまいます。ちょっと高すぎの気もしますが……!?

●トヨタRAV4 ハイブリッドG

■主要諸元
・全長×全幅×全高;4600mm×1855mm×1685mm
・ホイールベース:2690mm
・最低地上高:190mm
・車両重量:1690kg
・エンジン:直列4気筒DOHCハイブリッド
・総排気量:2487cc
・最高出力:178ps/5700rpm
・最大トルク:22.5kgm/3600-5200rpm
・モーター出力/トルク:120ps/20.6kgm(リアモーター54ps/12.3kgm)
・トランスミッション:電気式無段変速機
・サスペンション:ストラット/ダブルウィッシュボーン
・タイヤサイズ:225/60R18
・JC08モード燃費:25.0km/L
・WLTCモード燃費:20.6km/L
・価格:381万7800円

 それにしてもトヨタは、一度国内での販売を止めていたRAV4を改めて販売するにあたり、思い切って大幅にコンセプト変更し“クロカン風オフロードイメージ”を前面に押し出してきましたね。これまでの”は若者向けエントリーSUVというコンセプトでしたが、今回のモデルは明確にオフロード風にコンセプト変更したSUVです。

 エクステリアデザインは一世代前のフォレスターやエクストレイルのような路線を狙っていることがわかります。四角く大きく開口部を取った前後のフェンダーアーチにはブラックの樹脂フェンダーアーチを装着して無骨な雰囲気を演出しています。

 デザイン的には王道の手法を使っていて、新しさや新鮮さを感じるものではありません。ですが、モデルチェンジの意図はわかりやすいですし、都会派ラグジュアリー系SUVのハリアーとの違いを明確にし、トヨタのなかでお客さんの食い合い防止にはこのオーソドックスなクロカンSUVデザインは凄く効果的ですね。

 この新型RAV4は綿密な市場調査と企画会議で「トヨタとして弱点のマーケットはどこだ!?」といったようなことなどを、周りの商品群をよく見たうえでしっかりと決め、明確なコンセプトのもとに開発されたということが強く伝わってくるクルマです。

 元祖”が持っていたコンセプトは今やC-HRにとって代わられているし、ミッドサイズのシティ派SUVにはハリアーがある。本格的なクロカンならばランクルがある……というなかで、フォレスターやエクストレイルのような市場規模の大きいオフロード系のミッドサイズSUV市場にトヨタ車にはない「ここをしっかりカバーできるモデル」という狙いでコンセプトが具現化されたのだと思います。

 結果としてRAV4という名称を使うことになったということでしょう。

 このように言うと批判的に感じるかもしれませんがそうではなく、きわめて合理的に確かな方向できちんとコンセプトを定め、一直線にブレることなく開発されています。

 私も企画や開発やプロモーションなどいろいろやってきましたが、利害が絡み合う関係部署が多くある大企業で、RAV4という「名がある商品」の大幅なコンセプト変更をしっかりとやるのはそう簡単なことではありません。よくやったと思います。

 一方、ジャガーEペイスは対照的に違うコンセプトでシティ派ファッションSUVの流れです。以前であれば2ドアクーペのスポーティカーが担っていたマーケットを今ではこうしたスポーティSUVが受け継いでいる。

●ジャガーEペイス P250

■主要諸元
・全長×全幅×全高;4410mm×1900mm×1650mm
・ホイールベース:2680mm
・最低地上高:205mm
・車両重量:1890kg
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・総排気量:1995cc
・最高出力:249ps/5500rpm
・最大トルク:37.2kgm/1300-4500rpm
・トランスミッション:9速AT
・サスペンション:ストラット/マルチリンク
・タイヤサイズ:235/55R19
・JC08モード燃費:11.2km/L
・WLTCモード燃費:─
・価格:589万円

 新型RAV4には未舗装路や海岸も似合いますが、Eペイスには都会のしゃれた街並みが似合う。国道246号の出発点に近い青山通りがEペイスなら、国道246号の終着に近い伊豆の海岸がRAV4という感じ。

 こんな風にSUVはライフスタイルと醸し出す雰囲気を創り出す、服装のようなカテゴリーでもあるのです。

次ページは : ■ジャガーはやっぱり泥っぽくはならない

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