乗り物のボディは持ち主の意図や好みによって様々なカラーに塗られる。なかでも見た人々に強い印象を与える色のひとつであり、その視認性の高さが安全にも寄与しているのが黄色だ。
文・写真(特記以外):中山修一
(黄色い乗り物の写真付きフルサイズ版はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■どうしてそんなに黄色いのか?
明るい気持ちになれる、幸せを感じる、何かいいことありそう……などなど、黄色というのは総じてポジティブな印象を与えてくれる。
乗り物の塗装にも黄色がよく選ばれる。虫が寄ってくるデメリットこそあれど、快活なイメージがあるのはもとより、実用面においては「目立つから」というのが黄色く塗る第一の理由。
目立つから安全、目立つから見つけやすい、目立つから宣伝になる、といった具合に、黄色が持つ特有の「目立つから」が様々な乗り物に活用されているわけだ。
■ニッポンの黄色い乗り物
世界的に有名な黄色い乗り物といえば、アメリカのスクールバスとタクシーだ。これらも全部ではないが、主に視認性が高いという理由で黄色く塗られている。
それはさておき、日本で活躍している黄色い乗り物にどんなものがあるか。まずはブルドーザーやショベルカーなどの建設機械が代表的な存在。黄色が多いのは安全のためだ。
また、線路などの点検に使われる新幹線・923形(ドクターイエロー)も、夜間作業中にすぐ見分けがつくよう黄色く塗られている。実用面を重視した結果のカラーリング=警戒色と呼ばれるものだ。
その警戒色が、通常の白い新幹線に対して黄色い車体が強いインパクトを与えるのと、普段走っている姿をあまり見かけない物珍しさから転じて、「出会うと幸せになれる」と言われるほどの人気を呼び起こす副産物をもたらしているのが楽しい。
■黄色いバスって走ってる?
建設機械やドクターイエローのような業務用の乗り物がある一方で、お客さんを乗せて運ぶ乗り物にも、黄色く塗られたものが各ジャンル多々ある。
『バスマガジンWeb』発ということで、ここではバスに注目してみよう。果たして日本に黄色いバスは走っているだろうか。
ゼロでないのは確かで、むしろ数が多すぎてキリがなくなりそうなので、条件を以下の要領で絞り込んで探すとどうなるか見てみよう。
・黄色がそのバス事業者の「標準色」であること
・あるいは特定の路線で使われる車の「専用/標準色」であること
・地色が黄一色であること
・飾り帯やワンポイントの図柄、社名ロゴなどは入っていてもOK
・乗合の路線バス(高速バス含む)であること
■黄色いバスといえばやっぱりアレ!?
車体の地色が黄1色のバスで真っ先に思い浮かぶものといえば、やはり東京エリアを中心に周遊バス網を広げている「はとバス」かもしれない。
「はとバス」の車両が黄色く塗られるようになったのは1979年3月からのこと。大きく見える、目立つのでお客さんにすぐ見つけてもらえる、といった理由から黄色が選ばれた。
飾り帯やイラストなどが添えられているタイプの車両もあるが、1979年以降は基本的に黄色1色に統一されている。
「はとバス」は観光バスであって路線バスと違うのでは? と思うかもしれない。確かに「はとバス」も貸切タイプの観光バスを用意している。
それとは別に、発車時刻の決まった定期観光バスを運行しており、こちらは乗合路線バスの一種に含まれるので、晴れて「黄色いバス」の筆頭格に挙げられる。