スポーツセダンとして人気の高いマークIIシリーズ。そしてセダンの人気にあやかる形で開発されたステーションワゴンも、なかなかの完成度を誇っていた。マークIIから派生したステーションワゴン、「クオリス・ブリッド」は、同カテゴリーでのトヨタの苦戦を吹き飛ばすような、最高にして最強のクルマだったのだ。
文:佐々木 亘/画像:ベストカーweb編集部
【画像ギャラリー】今見返しても廃れない良さがあるよなぁ!!(8枚)画像ギャラリーマークIIなのにFF? それがクオリスの持つ高い価値につながる
1997年にマークIIワゴンの後継として登場したのがクオリスだ。マークIIを名乗る車種としては異例のFFモデルで、カムリグラシアと兄弟関係にある。
V6の3.0L、直4の2.5L・2.2Lと3種類のエンジンバリエーションがあり、グレードも6種類あるなど、選択肢の広いクルマであった。一般的な乗用ワゴンから、マークIIシリーズとして恥じない上質なステーションワゴンまで、一つの顔でこなすのは、マークIIシリーズとしても珍しい。
FFならではのパッケージングで、広大な室内スペースを誇り、高級ワゴンとして恥じない走行性能を併せ持つ。リアセルフレベリングショックアブソーバーやスカイフックTEMSといった、乗り心地を向上させ車両姿勢変化を抑える装備も数多く搭載された。
クオリスはスタイリッシュでカッコいい、マークIIのデザインはそのまま受け継いでいながら、駆動方式がFFとなったことで、従来までFRのマークIIに乗れなかった降雪地域での支持も増やす立役者となる。マークIIをさらに国民的な存在にした、稀代の名バイプレーヤーがクオリスなのだ。
【画像ギャラリー】今見返しても廃れない良さがあるよなぁ!!(8枚)画像ギャラリー一転硬派なスポーティワゴンへ変身! ツーリングを味わえるブリッド
2002年にクオリスの後継車として登場したのがマークIIブリッドだ。クオリスが万能型のモデルだとしたら、ブリッドは超硬派なスポーツワゴン。走行性能に重きを置き、極限までマークIIシリーズのダイナミズムを追求している。
先代クオリスとは違い、駆動方式をFRに戻したのがブリッドの特徴。同時に4WDモデルは電子制御フルタイム4WDシステムを搭載し、駆動力を30:70から50:50(センターデフロック状態)まで最適制御し、4WDでも意のままの走りを楽しめるのが魅力的だった。
心臓部には直列6気筒2.5Lの1JZ型エンジンを搭載。マイナーチェンジではターボモデルも追加される。クロスレシオのギヤ比で応答性の高い5速ATとの組み合わせは、胸のすくような加速を生み出した。願わくは6MTの設定があっても面白かっただろう。
ここまではカリカリのスポーツワゴンとしての素性を紹介してきたが、ステーションワゴンとしての使い勝手も備えるのがマークIIブリッドだ。特に面白い存在だったのが、折り畳み式のラゲージユーティリティボックスである。
BLITロゴの入った折り畳み式ラゲージユーティリティボックスは、ラゲッジスペースの最奥、リアシートの裏に設置してある。
ふたを閉めた状態でBOXに、ふたを立てればラゲージ内のパーティションにもなるものだ。使用しない時には折りたたんで収納でき、ラゲッジスペースの邪魔になることは無い。タイヤハウスの出っ張りで、デッドスペースになりがちなラゲージ部を、有効活用できる良い装備だった。
キャラ立ちが良く、クルマの方向性がしっかりと定まっていたマークⅡのワゴンシリーズ。ステーションワゴンがイマイチ盛り上がらない今、市場の起爆剤として復活したら、実に面白い存在だと思う。
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コメント
コメントの使い方ブリッドにしか乗った事ないのですが、そちらは日本製スポーツワゴンとしてレガシィに比肩する存在でした。
特に2.5L直6モデル以上にスポーティーなのは初代ステージア260RSくらいで、同じ世代の二代目ステージアでも大きく見劣りするほどでした。
しかし、それほど走りに本気な中身と、霊柩車みたいな外見、保守的な高年齢向け内装など、合っていないような気がしました。惜しい車という印象です。